研修サービスの営業は、商材の良し悪しより「誰に、どの切り口で話すか」で決まります
スリーグッドは、管理職向け1on1、コミック教材によるコンプライアンス研修、ボードゲーム型のキャリア研修、学校向けAI研修、AIを使った育成サービスなど、性質の違う研修商材10本以上の新規開拓を担当してきました。共通していたのは、最初の仮説どおりには売れず、ターゲットの層か切り口を変えてから数字が動いたことです。
数字で見る
- 新規アポイントからの受注率 5〜6%(管理職向け1on1・研修。一般的なテレアポの1〜2%に対して)
- 継続4年超(コミック教材のコンプライアンス研修。従業員1,000名以上の人事部門を中心にアポイント300件超)
- 着電時のアポイント率 17.2%(ボードゲーム型キャリア研修。3か月で架電1,294件、アポイント59件、目標26件)
進め方の要点
- 決裁者と決め打ちせず、商材ごとに担当者・課長・部長のどの層が反応するかを最初の1〜2か月で確かめます
- 「離職」「育成」の一般的な切り口ではなく、電話の反応を見て商材ごとの切り口を決めます
- アポイント数ではなく有効商談の数で見ます。何を有効商談とするかは、クライアントと最初に決めます

経営層に会えても案件にならない。人事部長に電話しても受付で止まる。「離職」や「育成」で切り出すと、どの研修会社も同じ話に聞こえて断られる。研修の営業でよく起きる行き詰まりは、だいたいこのどれかです。
研修は無形商材で、電話口の短い時間で価値を伝えるのが難しい。しかも人事部門には毎日のように研修会社から電話がかかってきます。その中で話を聞いてもらうには、商材の説明の前に、相手が今の研修に何を感じているかを聞き出す必要があります。
このページでは、研修サービスの営業で実際に起きたことと、スリーグッドの進め方をまとめています。案件はすべて社名を伏せ、商材と数字だけを書いています。
研修サービスの営業がうまくいかない理由
決裁者に会っても、案件にならない
研修の導入を決めるのは人事部長や経営層ですが、現場でどんな研修をしていて何に困っているかは、その一段下の担当者や課長が一番よく知っています。管理職向け1on1の案件では、顧問紹介を通じて経営層のアポイントは取れていたものの、「社内でどんな研修をしているか分からない」「人事部長に任せている」で案件化しませんでした。研修商材に限っては、決裁者より先に、課題を持っている層に会う方が案件化しやすいことがあります。
「離職」「育成」の切り口は、聞き飽きられている
管理職が育たない、若手が辞める、エンゲージメントが下がっている。どの研修会社も同じ入り方をするので、電話の相手は最初の10秒で「研修の営業だ」と判断します。刺さる切り口は商材ごとに違い、電話をかけて反応を見ないと分かりません。管理職向け1on1の案件では、他社の営業代行3社がこのニーズ訴求で入り、スリーグッドだけが途中で切り口を変えました。結果は次の章に書きます。
情報収集のアポイントばかりで、受注につながらない
「一度話を聞きたい」というアポイントは取れても、課題も時期も聞けていないアポイントは商談で止まります。アポイントの数を追うほど、商談担当の時間だけが消えていきます。コミック教材の研修では、開始から半年後にクライアントから「アポイント数が減ってもいいので、課題を聞けた相手だけを送ってほしい」という要望があり、アポイントの定義を変えました。
民間と自治体、企業と学校で入口が違う
同じ研修商材でも、売り先が変わると電話のつながり方が変わります。ボードゲーム型のキャリア研修では、自治体の人事課・研修所は着電率35%と代表電話からでも担当者に届きやすく、民間企業は着電率は低いものの、つながれば約2割がアポイントになりました。学校向けのAI研修では、教育委員会と私学、校長と教務のどこに当てるかで反応が分かれます。一本のトークで全部に当てると、どこにも刺さりません。
スリーグッドの進め方
1. 誰に届けるかを、部署と層で決める
人事部、人材開発、総務、法務・コンプライアンス、経営企画。研修の種類によって窓口が違います。コンプライアンス研修は人事だけでなく法務や総務が持っていることがあり、「コンプライアンス室」がない会社では「法務部か総務部か」と聞き直す運用にしました。リストは案件ごとに新しく作り、そこに20万社・150万部署の直通番号データベースから人事部や人材開発部門の直通番号を当てて、代表電話の受付を経由せずに担当者へ届けます。
層は「決裁者」と決め打ちしません。管理職向け1on1の案件では、経営層から現場の担当者・課長層に変えたことで案件化率が上がり、実際に獲得したアポイントも部長以上より担当者・課長が多くなりました。商材ごとに、担当者・課長・部長のどこが反応するかを最初の1〜2か月で確かめます。
2. 切り口は電話の反応で決める
最初の仮説で始め、着電時のアポイント率と、何に反応したかの定性情報を毎週見ながらトークを変えます。研修商材は「困りごと」より「今の研修への不満」を聞き出す方が話が進むことが多く、そこから商材ごとの切り口を見つけます。
管理職向け1on1の案件では、立ち上げ時は「管理職が育成できていない」「離職がある」という切り口でしたが、担当ディレクターが着電アポイント率の低さと電話口の反応から「少しずれている」と判断し、「集合研修をやってもやりっぱなしになる。研修の定着や行動変容」に切り替えました。この切り口に変えてから、一定数のアポイントが安定して取れるようになり、他社比1.5〜2倍のアポイント率になりました。
社名も実績もない立ち上げ期の商材では、切り口だけでは足りません。この案件では、創業者の経歴(大手組織人事コンサル出身)を最初の30秒に入れることで、「新参者の営業」から「聞いてみる価値のある相手」に変わり、反応が変わりました。持っている材料をどう見せるかは、トークの一部です。
3. 数えるのはアポイント数ではなく、有効商談の数
情報収集だけのアポイントは送客せず、課題を一つでも聞けた相手だけを「有効商談」として数えます。何をもって有効商談とするかは、キックオフでクライアントと決めます。コミック教材の研修では、2022年10月にこの基準に変更し、ヒアリング項目を「現状の課題」「どの研修テーマで起きているか(コンプライアンス、ハラスメント、ビジネスマナー、情報セキュリティ)」「いつまでに対応したいか」の三つに固定しました。アポイント数は減りますが、商談担当が受注に集中できます。
4. 売り先ごとに、入口とトークを分ける
ボードゲーム型のキャリア研修では、自治体向けと民間向けでトークを分けました。自治体は年度計画と他自治体の導入事例を重視し、「情報収集の受け皿」として概要説明の場を提示する方が進みます。民間は既存研修の否定ではなく、「知識を意思決定と行動に落とす補完」として提示すると検討のハードルが下がりました。同じ商材でも、売り先が変わればトークは別物です。
架電の時間帯も売り先で変わります。この案件では、午前10〜11時台と午後15〜16時台のアポイント率が高く、13時台は担当者不在が多くて避ける、火曜と木曜が最も効果的で月曜と水曜は会議で不在、という傾向が出ました。
5. 企業の状態でもリストを切る
採用中かどうかは研修にはあまり関係ありません。研修が動くのは、新任管理職が増えた、拠点や部門が新設された、評価制度が変わった、上場準備に入った、といった組織側の変化があるときです。部署に加えて、こうした状態でリストを絞る方法も試します。
6. 展示会・セミナー・資料請求のリードを電話で追う
研修サービスは、展示会や自社セミナーで名刺やアンケートが集まる一方、その後の電話をかける人がいない会社が多い。AIを使った育成サービスの案件では、コールドリストへの架電に加えて、展示会来場者、セミナー参加者、資料ダウンロード者へのフォローコールを組み合わせ、着電時のアポイント率を初期の9%前後から20%前後まで改善しました。集めたリードを電話で商談に変える運用も、営業代行の範囲です。
支援例
管理職向け1on1・企業研修(研修サービスを立ち上げたHR企業様・社名非公開)
社名も実績もない新サービスの立ち上げ期に、4社同時のコンペで担当。経営層向けの顧問紹介では案件化しなかったため、ターゲットを現場の担当者・課長層に変更。切り口も「離職・育成」から「研修のやりっぱなし・定着」へ変え、創業者の経歴をフックに聞いてもらえる状態を作りました。手応えが出るまで約4か月。累計約150件のアポイント、受注6社、新規アポイントからの受注率5〜6%(同社の従来のテレアポ経験では1〜2%)。他社の営業代行は同条件で受注が2分の1から3分の1でした。
コミック教材によるコンプライアンス・ハラスメント研修(大手人材グループの研修事業・社名非公開)
2022年4月から継続中。人事部・総務部・法務部門など、従業員1,000名以上の企業を中心にアプローチ。開始半年後にクライアントから「アポイント数が減ってもいいので、課題を聞けた相手だけ送客してほしい」という要望を受け、アポイントの基準を件数から有効商談に切り替えました。以後、記録に残るアポイントは300件を超えています。リストは新規コールドリストに加え、資料ダウンロード者・セミナー参加者・展示会来場者へのフォローコールも並行。
ボードゲーム型キャリアデザイン研修(株式会社BeOne様)
2025年11月から3か月間。自治体の人事課・研修所と、民間企業の人事の両方にアプローチ。架電1,294件でアポイント59件(目標26件)、架電アポイント率4.5%、着電アポイント率17.2%。自治体は着電率35%と入口に強く、民間は着電率21.6%と低いものの着電すれば19.1%がアポイントになる、という違いが見えました。座学ではなく体感型であることと、他自治体の導入事例が切り口として機能。獲得したアポイントは、自治体の情報収集ニーズ、民間の既存研修改善ニーズ、時期制約があるが将来の見直しのために話を聞きたい層、の三つに分かれました。
→ 対談記事:https://threegood.net/interview/gov-sales-strategy/
学校向けAI研修(教育機関向け研修会社様・社名非公開)
教育機関を対象としたAI研修の新規開拓。企業向けとは窓口も予算の決まり方も違うため、教育委員会・私学・校長・教務のどこに当てるかを分けて検証。
AIを活用した人材育成サービス(HRテック企業様・社名非公開)
2024年9月から継続中。コールドリストへの架電に加え、展示会来場者・セミナー参加者・資料ダウンロード者へのフォローコールを組み合わせ、着電時のアポイント率を初期の9%前後から20%前後まで改善。人事部門だけでなく、営業人材育成部門や人材開発部門にも当てています。
そのほかの研修・組織開発商材
管理職向け1on1・研修(同じ商材を扱う別の会社)、組織分析・研修・戦略人事コンサル、グローバルリーダー育成研修、リスキリング講座、eラーニングの管理職研修など。
料金と進め方
料金は月額固定のみです。成果報酬や商談数の約束は、勝ちパターンが見つかる前にはお受けしていません。
理由は、提案時に決めたKPIが、キックオフでターゲットが変わった瞬間に意味を失うからです。研修商材は特にそうで、経営層に当てるつもりが現場の課長層に変わる、離職の切り口が定着の切り口に変わる、ということが最初の1〜2か月で起きます。そこで決めた数字に縛られると、代行会社は数字を作りに行き、クライアントは受注にならないアポイントを受け取ることになります。
最初の1〜2か月は、売れる相手と切り口を見つける期間として固定報酬で運用します。この期間の結果をもとに、ターゲット・アポイントの定義・継続条件を一緒に決めます。成果報酬をご希望の場合も、この期間を経てから移行するかを判断しています。契約締結から稼働開始までは最短14日です。
よくある質問
研修の内容が専門的です。電話で説明できますか
商材の説明を電話で完結させることはしません。最初の電話で聞くのは、今どんな研修をしているか、何に不満があるか、次にいつ見直すか、です。研修の中身は商談でクライアントに説明していただきます。トークスクリプトはキックオフでクライアントと一緒に作り、電話で使う言葉とNGワードを揃えます。
立ち上げたばかりで実績がありません。売れますか
社名も実績もない状態から受注6社になった案件があります。実績がない代わりに、創業者の経歴、前職での実績、研修の考え方など、持っている材料を最初の30秒に入れます。何を出すかは商材ごとに違うので、キックオフで洗い出します。
成果報酬でお願いできますか
最初の1〜2か月は固定報酬でお願いしています。この期間で売れる相手と切り口が見えたあとであれば、成果報酬への移行を相談できます。最初から成果報酬にすると、代行会社は取りやすいアポイントを取りに行き、受注につながらないことが多いためです。
リストはどちらが用意しますか
基本はスリーグッドが用意します。リストは案件ごとに新しく作成し、商材に合った業種と企業規模で絞ります。20万社・150万部署の直通番号データベースは、そのリストに人事部などの部署直通番号を当てるために使います。代表電話ではなく部署に直接かけるためのもので、データベースからリストを切り出すものではありません。クライアントの展示会名刺、セミナー参加者、資料請求者などのハウスリストがある場合は、そちらへのフォローコールも並行します。既存顧客や商談中の企業はNGリストとしていただき、除外します。
自治体や学校にも対応できますか
自治体の人事課・研修所、教育機関を対象にした研修商材の実績があります。民間企業とは窓口、予算の決まり方、電話のつながり方が違うため、トークと架電時間帯を分けて運用します。
最短でいつから始められますか
契約締結から稼働開始まで最短14日です。キックオフでターゲット、トーク、リスト、報告方法を決め、翌週から架電を始めます。
報告はどのように受けられますか
日次の架電結果と、週1回の定例で、着電率・アポイント率・何に反応したか・断られた理由をお伝えします。アポイントはその日のうちに報告し、クライアント側のカレンダーやスケジューラーに登録します。
こんな研修会社様に向いています
- サービスを立ち上げたばかりで、誰に売れるかまだ決まっていない
- 顧問紹介やDM、他社の営業代行を試したが、案件化しなかった
- アポイントは取れているが、商談で止まっている
- 経営層と現場の担当者、どちらに当てるべきか判断がついていない
- 展示会やセミナーで集めたリードを、電話で追えていない
- 民間だけでなく自治体や学校にも広げたいが、入口が分からない
研修サービスの営業でお困りであれば、まずは今の売り方をお聞かせください。

