営業実行を外部委託するには?戦略はあるのに動かせない会社が、委託先に任せる範囲と選び方

「ターゲットも訴求も決まっている。ただ、実行する人がいない」「戦略を立てたが、営業部が動ける状態になっていない」「外部に頼んだら、報告がコール数とアポ数だけだった」。経営企画や事業責任者の方から、こうした相談をいただくことが増えています。

戦略はあるのに実行できない状態は、珍しいことではありません。戦略を立てる人と、毎日電話をかけて断られながら反応を集める人では、必要な時間の使い方がまったく違うからです。

先に結論をお伝えします。営業の実行を外部委託するときに求めるべきなのは、決めた戦略を正確に架電に落とし、市場の反応を歪めずに持ち帰ることです。件数をこなすことは、その手段にすぎません。

本記事では、営業実行の外部委託の定義、戦略があっても営業が動かない理由、委託先に任せる範囲と社内に残す範囲、委託先の選び方を、スリーグッドが担当した事例とあわせて解説します。

この記事の要点

  • 実行が止まる理由:戦略を立てる人と、毎日架電して反応を集める人の時間の使い方が違う
  • 最初にやること:戦略の言葉を、部署と企業の状態に置き換え、架電で答えが出る問いにする
  • 任せる範囲:リスト作成・架電・商談設定・報告は外部、戦略の判断と商談後の提案は社内
  • 委託先の選び方:件数だけでなく、断り理由と会話の中身を持ち帰れるかで選ぶ
目次

営業実行の外部委託とは?コンサルティングとの違い

営業実行の外部委託とは、自社で決めたターゲットや訴求をもとに、新規顧客へのアプローチを外部の営業会社に任せることです。電話でのアプローチ、商談の設定、反応の報告までを委託し、戦略の判断や商談後の提案は社内で行う形が一般的です。

似た言葉に営業コンサルティングがありますが、役割が違います。

項目営業コンサルティング営業実行の外部委託
主な仕事戦略や仕組みを設計する決めた戦略を市場で実行する
成果物戦略資料、営業プロセスの設計架電の結果、商談、市場の反応
向いている会社戦略そのものが決まっていない戦略はあるが実行する人がいない
報告の中心提案と改善案反応・断り理由・会話の中身

戦略がある程度決まっていて、動かす人が足りない会社に向いているのが、営業実行の外部委託です。

POINT:営業実行を外部に任せるとき、相手に求めるのは戦略を代わりに考えることではありません。戦略の仮説を架電で確かめ、結果を判断材料として返すことです。

戦略があっても営業が動かない3つの理由

1. 戦略を立てる人に、架電の時間がない

経営企画や事業責任者は、戦略の立案や社内調整に多くの時間を使います。毎日数時間の架電を続けながら、反応を記録して直していく時間は取れません。結果として、戦略は資料のまま残ります。

2. 既存の営業部は、今の顧客を回すことで手一杯

既存の営業部は、今の顧客の対応と目標の数字を追っています。新しいターゲットへの開拓は、反応が出るまでに時間がかかるため、どうしても後回しになります。

3. 戦略が架電で使える形になっていない

「中堅の製造業」「DXに関心のある企業」といった戦略の言葉は、そのままでは電話をかける相手になりません。どの部署の誰に、どんな状態の企業から当てるかに置き換える作業が必要です。この置き換えができないまま外部に任せると、委託先は業種と規模で切ったリストに架電することになり、戦略の検証になりません。

戦略の言葉を、架電で答えが出る問いに置き換える

営業実行を外部に任せる最初の打ち合わせで、戦略の仮説を、架電で答えが出る問いに置き換えます。問いごとに、何を見て判断するかも決めておきます。

戦略の仮説(例)架電で確かめる問い見るもの
中堅の製造業が主なターゲット中堅製造業のどの部署が反応するか部署別の着電アポ率
人手不足に悩む企業に刺さる採用を増やしている企業で反応が上がるか状態別のアポ率と断り理由
現場の担当者が導入を決める決裁は担当者か、部長か、経営層か最初に出た人の役職と、商談に出てくる人
競合より価格で勝てる今何を使っていて、なぜ乗り換えないのか断り理由の内訳

この置き換えを最初にしておくと、2か月後に「どの仮説が当たり、どれが外れたか」をはっきり判断できます。

外部委託で任せる範囲と、社内に残す範囲

外部に任せるもの

  • リスト作成と部署直通番号の調査
  • トークの作成と改善
  • 架電と商談の設定
  • 日次の架電結果と、週次の定例での報告

社内に残すもの

  • ターゲットと訴求の最終判断
  • 商談後の提案、見積、受注後の対応
  • 既存顧客の対応

社内から渡すと検証が速く進むもの

  • 狙いたい企業の条件と、除外したい条件
  • 今の顧客がなぜ買っているか
  • よく聞かれる質問と、その答え
  • 過去に試してうまくいかなかったこと

任せる範囲と渡すものを最初に決めておくと、報告の受け方と判断のタイミングがはっきりします。

営業実行を外部委託した事例

スリーグッドが営業実行の側で担当した案件から、戦略を実行に移した例を4つ挙げます。

事例1:POS・シフト管理SaaSほか5サービス(パーソルホールディングス株式会社)

  • ターゲット:各サービスの導入を決める部門
  • 課題:戦略は社内で立てられるが、テレマで成果を出す人材を社内で育てるには費用がかかる
  • 戦略:架電を軸にした実行支援を提案。1プロダクトにつき架電者2名とディレクターの体制で、アポ率と着電率をリストごとに分析し、通話録音をもとにトークを改善
  • 成果:1つの商材から導入1年で5つのサービスへ拡大。毎月50件以上、延べ2000件以上のアポを創出(架電アポ率 平均2.1%)。2020年8月から6年継続。事例を見る

事例2:大手SIerの新規事業(経営企画部門からの依頼)

  • ターゲット:自治体、その後に製造業・化学業界の中堅・大手
  • 課題:新規事業として複数の商材を持ち、それぞれの売れる相手が未確定
  • 戦略:商材ごとに反応を取り、ターゲットを結果に合わせて変更。CXOレター送付先へのフォローコールなど、商材に合わせた経路も検討
  • 成果:1商材の結果をもとに、別商材の新規開拓を順に依頼される形に

事例3:店舗工事・内装設計の新規開拓(株式会社日成クリエイト)

  • ターゲット:新規出店や事業転換を公表している企業、医療関係の設計事務所
  • 課題:紹介中心の受注が細り、自社のテレアポと飛び込みでは3年間で新規取引先2社
  • 戦略:内装の需要が出るのは新規事業や事業転換のタイミングだと考え、公表資料をもとに状態でリストを作成
  • 成果:受注3件。うち1件の医療設計事務所は継続取引に。詳細は対談で公開

事例4:自治体向けAIサービス(社名非公開)

  • ターゲット:自治体の担当課
  • 課題:稼働初週の架電アポ率が1.5%
  • 戦略:断り理由から訴求を変え、架電数は増やさずにトークを修正
  • 成果:キーマンと接触したあとのアポ率が8.3%から27.8%に。7週で累計23件の有効商談

4つに共通するのは、戦略を固定せず、架電の結果からターゲットと訴求を直していることです。営業実行の外部委託で価値が出るのは、この修正を毎週回し、結果を戦略側の判断材料として返すことです。

現場の記録:戦略の仮説を、3週間でどう直したか

大手IT企業の自治体向けシステム(社名非公開)で、営業の実行を担当したときの記録です。クライアントの経営企画部門が戦略を持ち、スリーグッドが架電と報告を担いました。最初の契約は40時間でした。

項目1週目2週目3週目
架電アポ率1.5%17.2%8.1%
着電率(担当者と話せた割合)18.5%41.4%38.4%
架電数2週の合計で94件86件

3週間の合計は、架電180件、アポ13件(架電アポ率7.2%、着電率31.7%、着電アポ率22.8%)でした。計画の架電数に対しては56%にとどまりましたが、アポは計画の約1.8倍になっています。1件ずつ丁寧に聞き取ったぶん通話が長くなり、架電数は減っても話の深さが増えたためです。

変えたのは、トークの入口

1週目は担当者につながる割合が低く、アポ率も1.5%でした。2週目から、トークの入口を製品の説明ではなく、業務の属人化と引き継ぎの話に変えています。担当者と話せる割合は18.5%から41.4%に上がり、その後も維持できました。3週目のアポ率が下がって見えるのは、架電数を約3倍に増やしたためで、量を増やしても目標の水準は保てています。

リストは、過去の取り組みで絞った

人口規模で自治体を選ぶのではなく、過去にデジタル化に取り組んだ形跡がある自治体に印をつけ、そこから優先して架電しました。人口10万人以下の自治体でも、手作業の運用が残っていれば反応がありました。アポにつながった理由は、メモ取りの負担、手書きのメモをシステムに入れ直す二度手間、担当者の異動のたびに起きる引き継ぎの問題でした。近隣の自治体の導入事例が、判断の後押しになっていることも分かりました。

断り理由は、3つに分けて残した

  • すでに別の仕組みで対応している
  • 予算の時期が合わず、今は検討の段階にない
  • そもそも議題に上がっていない(最も多い)

最も多かった「議題に上がっていない」は、拒否ではなく、まだ検討の土俵に上がっていない状態です。この層は中長期のフォローリストとして分けて管理し、翌年度の予算に向けた時期にもう一度当てる方針にしました。担当者と話せた時間帯は昼休み明けの13時台が全体の約3割で、架電の時間帯もこれに合わせています。

クライアントは、アポの件数だけでなく、商談後に次の段階へ進む割合をほかの施策と比べて評価していました。予算要求の時期が迫っていたため、残りのリストは稼働を増やして前倒しで消化する方針になりました。

POINT:戦略の仮説を実行に移すと、どこが当たり、どこが外れたかが数字と会話で返ってきます。外部委託で価値が出るのは、この返ってきた情報をもとに、毎週トークとリストを直すことです。

外部委託を始めるまでの流れ

スリーグッドに営業実行を委託いただく場合の、ご契約から稼働までの流れです。

  • 1. ヒアリング:商材、狙いたい市場、これまでの反応、今の戦略の仮説をお聞きします
  • 2. 切り口の設計:戦略の仮説を、部署と企業の状態の組み合わせに置き換え、切り口を複数用意します
  • 3. リストとトークの準備:リストを作成し、部署直通の番号を調べ、トークを作ります(ご契約日から稼働開始まで標準14日)
  • 4. 稼働と日次・週次の報告:架電の結果を日次で共有し、週1回の定例で数字と会話の中身から直します
  • 5. 2か月後の判断:反応のあった組み合わせをもとに、目標と稼働量を一緒に決めます

商材を理解したメンバーが架電するまでの時間を短くするため、案件ごとに、その業界の商材を担当した経験のあるメンバーをアサインしています。人の基準、通話の確認、リストの管理、毎週の改善といった運用の基準は、BtoBQS(BtoB Quality System)としてまとめています。

営業実行の委託先を選ぶ4つの基準

1. 戦略を、部署と企業の状態に置き換えて提案できるか

最初の打ち合わせで、戦略の仮説を、どの部署・どんな状態の企業に当てるかに置き換えて提案できるかを確認します。業種と規模だけのリストを提案してくる相手は、戦略の検証には向きません。

2. 担当者に直接届ける手段を持っているか

代表番号への架電は受付で止まりやすくなります。スリーグッドは20万社・150万部署の部署直通番号のデータベースを使い、代表番号のリストと比べて担当者と会話できる数が約2倍になります。

3. 報告に断り理由と会話の中身が入っているか

件数だけの報告では、戦略のどこが当たり、どこが外れたかが分かりません。過去の報告書を見せてもらい、断り理由の分類と相手の言葉が入っているかを確認します。

4. 人が入れ替わっても品質が保たれるか

稼働を増やしたときに品質が落ちないかも重要です。スリーグッドは、架電スタッフの採用率を2割未満に絞り、通話録音をディレクターが確認する体制で運用しています。基準はBtoBQSのページで公開しています。

営業実行の外部委託でよくある3つの失敗

失敗1:提案の段階で目標件数を決めてしまう

提案時に月の目標件数を約束させると、委託先は達成しやすい相手に寄せて架電します。戦略で狙っていた相手が後回しになり、検証になりません。最初の2か月は反応を確かめる期間とし、その結果で目標を決めるほうが、結果的に早く進みます。

失敗2:報告を件数だけで受け取る

件数の推移だけを見ていると、なぜ増えたのか、なぜ減ったのかが分かりません。断り理由と会話の中身を毎週受け取り、戦略側の判断に使います。

失敗3:商談の結果を委託先に戻さない

アポイントの先の商談で、何が決め手になり、何で断られたかを委託先に戻さないと、リストとトークを直す材料が足りなくなります。商談の結果も週次の定例で共有します。

営業実行の外部委託の料金と期間

項目スリーグッドの場合
料金の形月額固定(初期費用なし)
料金の目安大手・中堅企業や自治体向けは月20万〜50万円、中小企業・店舗向けは月50万〜200万円。ご依頼の工数によって決まります
最低契約期間2か月
稼働開始ご契約日から標準14日
月額に含むものリスト作成、架電、定例MTG、レポート作成
終了時にお渡しするもの使ったリスト、断り理由のデータ、トーク

戦略の仮説を偏りなく試すには、件数に応じて料金が変わる形より、月額固定のほうが向いています。最初の2か月の結果を見て、目標と稼働量を一緒に決めます。

営業実行の外部委託が向いている会社、向いていない会社

営業実行の外部委託は、どの会社にも合うわけではありません。向いている会社と、まだ早い会社を整理します。

向いている会社

  • ターゲットや訴求の仮説はあるが、実行する人が社内にいない
  • 新しい商品や新しい市場に向けて、早く反応を確かめたい
  • 既存の営業部は今の顧客の対応で手一杯で、新規開拓が止まっている
  • 採用や育成に時間をかける前に、売れる相手を確かめておきたい
  • 複数の商材や市場を、順番に試していきたい

まだ早い会社

  • 商品やサービスの説明ができる状態になっていない
  • 商談後の提案や見積を、社内で対応できる人がいない
  • 誰に売るかを社内で決める人がおらず、架電の結果を判断に使えない

まだ早い会社でも、何が足りないかを整理するところからご相談いただけます。特に、商談後の対応ができる人がいない場合は、架電で関心を持ってもらえても受注まで進まないため、商談代行をあわせて検討するか、社内の体制を先に整えることをおすすめしています。

POINT:外部委託が成果につながるかどうかは、委託先の力だけでなく、架電の結果を受け取って判断する人が社内にいるかどうかでも決まります。

よくある質問

Q1. 戦略の設計も任せられますか

スリーグッドは戦略を設計する会社ではなく、決めた戦略を営業で実行し、反応を持ち帰る会社です。戦略を架電で確かめられる形に置き換えるところは、一緒に行います。

Q2. 社内の営業部と並行して進められますか

できます。社内は既存顧客と商談後の対応、スリーグッドは新しいターゲットへの開拓というように、役割を分けて進められます。

Q3. どのくらいの期間で反応が分かりますか

最初の2か月で、どの部署・どの状態の企業に反応があるかを確かめます。その結果を見て、目標と稼働量を一緒に決めます。

Q4. リストや直通番号はこちらで用意する必要がありますか

必要ありません。リストの作成と部署直通番号の調査は、スリーグッドが行います。狙いたい企業の条件や除外したい条件があれば、最初にお知らせください。

Q5. 料金はどのくらいかかりますか

月額固定で、初期費用はかかりません。目安は月20万〜50万円(大手・中堅企業や自治体向け)、月50万〜200万円(中小企業・店舗向け)で、ご依頼の工数によって決まります。

代表・田中からひとこと

業種や企業規模で切った企業の一覧は、どの会社でも作れます。差がつくのは、その中から今動いている相手をどう見つけるかです。私たちは、相手がどんな状態のときに反応するのかを電話で探り、そこからリストを作り直すことを繰り返してきました。過去にデジタル化に挑戦したことがある、仕入れ先が途絶えた、契約の更新が近い。こうした状態は案件ごとに違うので、最初から分かっていることはほとんどありません。

戦略を持つ方と、実行する私たちが役割を分けることで、この状態を早く見つけられると考えています。戦略を資料のままにせず、市場の反応で確かめていただければと思います。

まとめ

営業実行を外部委託するときのポイントは、次の3つです。

  • 戦略の言葉を、部署と企業の状態に置き換え、架電で答えが出る問いにしてから実行する
  • リスト作成から報告までを外部に任せ、戦略の判断と商談後の提案は社内に残す
  • 断り理由と会話の中身まで持ち帰れる委託先を選び、毎週の結果で戦略を直す

戦略があるのに動かせない状態は、実行の手が足りないだけの場合がほとんどです。営業の実行と市場の反応の持ち帰りは、GTM実行支援のページでも紹介しています。まずは今の戦略と、これまでの反応を聞かせてください。

株式会社スリーグッド 代表取締役 田中祐貴
X:@threee_sales HP:threegood.net

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