「営業を採用したいが、募集を出しても応募が来ない」「採用できても、一人前になるまでに1年かかる」「せっかく育てた営業が辞めて、見込み先の情報も一緒になくなった」。新規開拓を増やしたい会社ほど、営業人材の採用と育成で足止めされています。
営業組織の一部を外部化する選択肢があることは知られていますが、どこまでを外に出し、どこを社内に残すかが決まらないまま、判断を先送りしている会社も少なくありません。外に出すと社内にノウハウが残らないのではないか、品質が落ちるのではないか、という不安もよく聞きます。
先に結論をお伝えします。営業組織の外部化で考えるべきなのは、人を雇うか外に頼むかの二択ではなく、どの機能を外に出し、どの機能を社内に残すかです。新規開拓のように人手と時間がかかる機能を外部に任せ、商談や既存顧客の対応は社内に残す形が、多くの会社に合います。
本記事では、営業組織の外部化の定義、外部化しやすい機能と社内に残す機能、外部化するかどうかの判断基準、外部化しても新規開拓の質を落とさない条件を、事例とあわせて解説します。
この記事の要点
- 採用・育成の負担:新規開拓ができる営業が戦力になるまでには、採用と育成で半年〜1年かかることが多い
- 外部化しやすい機能:リスト作成、架電、商談設定などの新規開拓
- 社内に残す機能:商談後の提案、既存顧客の対応、営業戦略の判断
- 質を保つ条件:採用・通話・リスト・追客の基準が、委託先の仕組みとしてあるか
営業組織の外部化とは?内製との違い
営業組織の外部化とは、営業の機能の一部を、社員の採用ではなく外部の営業会社に任せることです。営業のアウトソーシングや営業代行と呼ばれることもあります。
営業組織の作り方は、大きく3つに分かれます。
| 形 | 中身 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 内製 | 営業担当を採用し、社内で育てる | 売り方が決まっていて、採用と育成の仕組みが回っている |
| 外部化 | 営業の機能の一部を外部の営業会社に任せる | 新規開拓を早く立ち上げたい、売れる相手を確かめたい |
| 組み合わせ | 新規開拓は外部、商談と既存顧客は社内 | 新規開拓を増やしつつ、顧客との関係は社内に持ちたい |
すべてを外に出すのではなく、新規開拓のように人手と時間がかかる機能を外部に任せ、商談や既存顧客の対応など、社内に知識が残るべき機能は社内に残す組み合わせの形が一般的です。
POINT:営業組織の外部化は、営業部をまるごと外に出すことではありません。どの機能を外に出すかを選ぶことです。
採用・育成で営業組織を作るのが難しい3つの理由
1. 新規開拓ができる営業人材が少ない
既存顧客を回す営業と、まだ接点のない企業に電話をかけて開拓する営業では、求められる力が違います。断られ続けても記録を取り、切り口を変えて次の電話をかける力は、経験がないと身につきません。新規開拓の経験がある人材は採用市場でも少なく、採用までに時間がかかります。
2. 戦力になるまでに時間がかかる
採用できても、商材の理解、トークの習得、リストの作り方を覚えるまでに時間がかかります。その間も人件費は発生し、成果は読めません。教える側の先輩社員の時間も取られます。
3. 人が辞めると、ノウハウも一緒になくなる
営業担当が一人で抱えていたリストや見込み先の情報は、その人が辞めると引き継がれないまま消えてしまうことがあります。どの会社にどんな理由で断られたかが残っていなければ、次の担当者はまた一から始めることになります。
POINT:営業組織の課題は、人を増やすことより、人が替わっても同じ品質で回る仕組みを持てるかどうかにあります。
外部化しやすい機能と、社内に残す機能
営業の機能ごとに、外部化のしやすさを整理します。
| 機能 | 外部化のしやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| リスト作成・部署の特定 | しやすい | 専用のデータベースと調査の手間が必要で、外部のほうが早い |
| 新規開拓の架電・商談設定 | しやすい | 人手と時間がかかり、量を増減しやすい |
| 展示会や資料請求後のフォロー | しやすい | 時期が集中し、短期間に人手が必要 |
| 商談・提案 | 組み合わせ | 一次商談は外部、見積と契約は社内という分け方ができる |
| 既存顧客の対応 | 社内に残す | 関係と知識を社内に持つべき |
| 営業戦略・ターゲットの判断 | 社内に残す | 事業の判断そのもの |
外部化する機能を決めるときは、その機能に必要な時間と人手、そして社内に残すべき知識かどうかで判断します。
外部化するかどうかの判断基準
| 今の状況 | おすすめの形 |
|---|---|
| 新規開拓の量を、半年以内に増やしたい | 新規開拓を外部化し、採用は並行して進める |
| 売れる相手がまだはっきりしていない | 外部で2か月反応を確かめてから、社内の体制を決める |
| 既存の営業部が既存顧客で手一杯 | 新規開拓を切り離して外部化する |
| 商談後の提案に専門知識が必要 | 新規開拓と商談設定まで外部化し、商談以降は社内 |
| 売り方が決まり、採用と育成が回っている | 外部化を急ぐ必要はない |
反対に、すでに売り方が決まっていて、社内で採用と育成の仕組みが回っている場合は、外部化を急ぐ必要はありません。外部化は、採用の代わりではなく、新規開拓を早く立ち上げ、売れる相手が分かった段階で社内の体制を決めるための選択肢です。
外部化しても新規開拓の質を落とさない4つの条件
営業組織の外部化でいちばん多い不安は、品質が落ちることです。委託先を選ぶときは、次の4つが仕組みとしてあるかを確認します。
1. 採用の基準が下がらない
委託先が人数をそろえるために採用基準を下げていないかを確認します。スリーグッドは採用時に必ずロールプレイングを行い、架電スタッフの採用率は2割未満です。
2. 通話の中身を誰かが確認している
通話録音をもとに、ディレクターが会話の中身を確認し、スタッフごとに指導しているかを確認します。件数だけで評価する仕組みでは、無理なアポイントが増えます。
3. リストの状態が管理されている
同じリストを何周も回すと、話せる相手が減っていきます。周回数を記録し、枯渇する前に新しいリストを用意しているかを確認します。
4. 見込み先と断り理由が会社に残る
担当者の名前(バイネーム)と追客のルールが仕組みになっていれば、人が替わっても見込み先は消えません。スリーグッドでは、終了時に使ったリスト、断り理由のデータ、トークをお渡ししています。
この4つを含む6つの基準は、BtoBQS(BtoB Quality System)として公開しています。
営業組織を外部化する5つのステップ
営業組織の一部を外部化するときは、次の順番で進めると、社内の負担を抑えながら立ち上げられます。
ステップ1:外に出す機能と、社内に残す機能を決める
新規開拓の架電と商談設定は外部、商談後の提案と既存顧客の対応は社内、というように、機能ごとに線を引きます。展示会後のフォローのように時期が集中する仕事も、外部化しやすい機能です。
ステップ2:社内で判断する人を決める
外部化した部分の結果を受け取り、ターゲットや訴求を決める人を社内に1人置きます。経営者、事業責任者、営業責任者のいずれかが多く、週1回の定例に出られる人が向いています。
ステップ3:今の顧客と、これまでの反応を共有する
今の顧客がなぜ買っているか、過去にどんな相手に断られたか、よく聞かれる質問は何かを委託先に共有します。この情報があると、最初の切り口の精度が上がります。
ステップ4:2か月で、反応のある切り口を確かめる
部署と企業の状態の組み合わせで切り口を複数用意し、反応を比べます。この期間は、件数よりも、どの切り口に反応があるかを見ます。
ステップ5:結果を見て、外部化を広げるか、社内に戻すかを決める
反応のあった切り口が見つかったら、外部化を続けて量を広げるか、そのやり方を社内の採用と育成に生かすかを決めます。どちらを選んでも、外部化した期間のリストと断り理由のデータは社内に残ります。
POINT:外部化を始める前に、社内で判断する人を決めておくことが、外部化を成果につなげるいちばんの条件です。
営業組織を外部化した事例
スリーグッドが担当した案件から、営業組織の一部を外部化した例を4つ挙げます。
事例1:POS・シフト管理SaaSほか5サービス(パーソルホールディングス株式会社)
- ターゲット:各サービスの導入を決める部門
- 課題:テレマで成果を出す人材を社内で育てるには費用がかかり、営業実務の外注先を探していた
- 戦略:1プロダクトにつき架電者2名とディレクターの体制で運用。週1回の定例と日常のSlackで報告し、アポ率と着電率をリストごとに分析
- 成果:1つの商材から導入1年で5つのサービスへ拡大。延べ2000件以上のアポを創出し、2020年8月から6年継続。事例を見る
事例2:食品サブスクのメディア事業部(オイシックス・ラ・大地株式会社)
- ターゲット:大手企業のマーケティング部門・営業部門
- 課題:事業の拡大で目標が上がり、4〜5名の既存メンバーでは対応しきれなくなった。部内でリスト作成やトークのノウハウが共有されていなかった
- 戦略:カテゴリごとに数十〜数百社を選び、組織図から候補部署を絞って部署直通の番号で架電。週次の定例でボトルネックを特定して改善
- 成果:目標2%前後のアポ獲得率に対し、リスト37件で20%超。6か月の支援で6件を受注。事例を見る
事例3:管理職向け1on1・研修(株式会社Suus)
- ターゲット:企業の人事担当者・課長層
- 課題:当初は経営層に向けて研修を提案していた
- 戦略:営業代行4社の比較で選定いただいた。狙う層を経営層から担当者・課長層へ、訴求を研修の定着へ切り替えた
- 成果:約150商談から6社受注(実施商談数に対する受注率 約4%)。詳細は対談で公開
事例4:店舗工事・内装設計の新規開拓(株式会社日成クリエイト)
- ターゲット:新規出店や事業転換を公表している企業、医療関係の設計事務所
- 課題:自社のテレアポと飛び込みでは、3年間で新規取引先2社
- 戦略:公表資料をもとに、企業の状態でリストを作成して架電
- 成果:受注3件。うち1件は継続取引に。詳細は対談で公開
4つに共通するのは、新規開拓を外部に任せながら、商談以降と顧客との関係は社内に残していることです。外部化した部分の結果が毎週社内に戻ってくるため、社内の判断も早くなっています。
現場の記録:外部と社内で、見込み先をどう受け渡しているか
営業組織の一部を外部化したときに一番気になるのは、外で集めた見込み先が社内に残るかどうかです。スリーグッドが実際に使っている報告の形と、社内の営業担当との受け渡しの例をお伝えします。
見込み先は、3段階に分けて記録する
| 区分 | 中身 | 次の動き |
|---|---|---|
| 見込みA | 日程の確認だけが残っている | 社内の担当者から連絡しても進む |
| 見込みB | 担当者と話せたが、再架電が必要 | 時期を決めて再架電する |
| 見込みC | 責任者の名前や、つかまる時間が聞き取れた | 名前を指定して再架電する |
この区分を日次の報告に入れておくと、どの見込み先を誰が追うかが一目で分かります。あわせて、担当者と話せたのにアポにならなかった理由を毎日記録し、報告の最後に、続けること・問題・次に試すことを短くまとめています。
不動産会社の駐車場事業での受け渡し
不動産会社の駐車場事業(社名非公開)では、2か月で50時間稼働し、625件に架電してアポ11件(アポ率1.8%)でした。数字だけを見ると目立ちませんが、責任者の名前まで聞き取れた見込み先が7社あり、そのうち1社は、聞き取ったとおり契約の更新時期を迎えて提案の段階に進んでいます。
この結果を受けて、次の稼働から、相手の契約の更新時期を聞き取ることを必須の項目にしました。また、次の稼働まで期間が空く見込みAの相手には、クライアントの担当者が自ら連絡を入れ、社名を忘れられないようにしています。外部が見込み先を見つけ、社内が関係をつなぐという役割分担です。
リストも、結果を見て変えています。月極駐車場のリストは手応えが弱かったため、決める人と電話番号を確かめやすい時間貸し駐車場のリストに戻しました。
POINT:外部化しても見込み先を失わないためには、見込み先の区分、責任者の名前、次に連絡する時期を、報告の中で社内に渡すことが大切です。
営業組織の外部化の料金と期間
| 項目 | スリーグッドの場合 |
|---|---|
| 料金の形 | 月額固定(初期費用なし) |
| 料金の目安 | 大手・中堅企業や自治体向けは月20万〜50万円、中小企業・店舗向けは月50万〜200万円。ご依頼の工数によって決まります |
| 最低契約期間 | 2か月 |
| 稼働開始 | ご契約日から標準14日 |
| 月額に含むもの | リスト作成、架電、定例MTG、レポート作成 |
| 終了時にお渡しするもの | 使ったリスト、断り理由のデータ、トーク |
採用した営業担当の人件費と比べると、外部化は稼働量に合わせて増減でき、採用と育成の期間がかからない点が違います。最初の2か月で反応を確かめ、その結果を見て、外部化を続けるか、社内の採用に切り替えるかを判断できます。
営業組織の外部化が向いている会社、まだ早い会社
向いている会社
- 営業の募集を出しても応募が少なく、採用が計画どおりに進まない
- 新規開拓の量を、半年以内に増やしたい
- 既存の営業部が今の顧客の対応で手一杯になっている
- 新しい商品や新しい市場について、売れる相手を確かめてから体制を決めたい
- 営業担当の退職のたびに、見込み先の情報が失われてきた
まだ早い会社
- 商品やサービスの説明ができる状態になっていない
- 商談後の提案や見積を、社内で対応できる人がいない
- 外部化した結果を受け取って判断する人が、社内にいない
まだ早い会社でも、何が足りないかを整理するところからご相談いただけます。例えば商談後の対応ができる人がいない場合は、商談代行をあわせて検討するか、先に社内の体制を整えることをおすすめしています。外部化は、社内の営業組織をなくすことではなく、社内の人が判断と顧客との関係づくりに集中できるようにするための方法です。
POINT:外部化の向き不向きは、会社の規模ではなく、結果を受け取って判断する人が社内にいるかどうかで決まります。
よくある質問
Q1. 社内の営業担当と外部のスタッフは、どう役割を分けますか
新規開拓の架電と商談の設定を外部、商談後の提案と既存顧客の対応を社内に分ける形が多くあります。商談代行をオプションで加えることもできます。
Q2. 外部化したあと、社内にノウハウは残りますか
終了時に、使ったリスト、断り理由のデータ、トークをお渡しします。毎週の定例でも、数字と会話の中身を共有します。
Q3. 途中で稼働を増やせますか
増やせます。新しく入るスタッフも採用時のロールプレイングと稼働後の通話録音の確認を経て、基準に達するまではディレクターが指導します。
Q4. 外部化と並行して、営業の採用を進めてもよいですか
問題ありません。外部で反応のあった切り口やトークを共有するので、採用した営業担当が立ち上がるときの材料にもなります。
Q5. 料金はどのくらいかかりますか
月額固定で、初期費用はかかりません。目安は月20万〜50万円(大手・中堅企業や自治体向け)、月50万〜200万円(中小企業・店舗向け)で、ご依頼の工数によって決まります。
代表・田中からひとこと
営業代行は、クライアントの黒子として、クライアントの会社名で電話をかける仕事です。スリーグッドでは、数十名のスタッフと一緒に、常に数十社の商材を同時に担当しています。だからこそ、人が替わっても同じ品質で回るように、採用、通話の確認、リストの管理、見込み先の記録を仕組みにしてきました。
営業組織の外部化は、社内の営業をなくすことではありません。外で集めた見込み先と断り理由を、毎週社内にお返しする。そのうえで、社内の方には、お客様との関係づくりと判断に時間を使っていただく。この分け方が、採用に頼りすぎない営業組織の形だと考えています。
まとめ
営業組織を外部化するときのポイントは、次の3つです。
- 新規開拓のように人手と時間がかかる機能から外部化し、商談後の提案や既存顧客の対応は社内に残す
- 採用・通話・リスト・追客の基準を持つ委託先を選ぶ
- 毎週の定例で結果を受け取り、終了時にはリストと断り理由を受け取って、知見を社内に残す
営業組織の外部化は、採用の代わりではなく、新規開拓を早く立ち上げ、売れる相手が分かった段階で社内の体制を決めるための選択肢です。スリーグッドは、大手・中堅・ニッチ市場・自治体向けと中小企業・店舗向けの2つのプランで、新規開拓の外部化を支援しています。まずは今の営業体制と、増やしたい新規開拓の量を聞かせてください。
株式会社スリーグッド 代表取締役 田中祐貴
X:@threee_sales HP:threegood.net

