新規開拓のリストの作り方|件数ではなく企業の状態と部署で切る、BtoB営業リストの手順

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「業種と地域で数千件のリストを作ったのに、電話をかけても受付で止まってしまう」

「リストは毎回作り直すべきなのか、前に使ったものを回せばいいのか分からない」

「営業リストを外注したいが、何を確認すればいいのか分からない」

新規開拓のリストについて、こうしたご相談をよくいただきます。リストがずれていると、トークを磨いても数字は動きません。反対に、リストを変えただけでアポ率が何倍にも変わることは珍しくありません。

先に結論をお伝えします。

新規開拓のリストは、件数を集めるところから始めるのではなく、いま困っていそうな企業の状態で切り、そのうえで話すべき部署で切るのが近道です。並べる順は、状態が先、部署が後です。そしてリストは案件ごとに新しく作り、かけた結果と断り理由で毎週直していきます。

本記事では、京都の営業代行会社スリーグッドが、これまで200社以上の新規開拓を担当してきた記録をもとに、新規開拓のリストの作り方の手順、企業の状態の切り方の例、無料と有料の集め方の違い、外注するときの確認点を解説します。

この記事の要点

  • 件数より切り方:業種と地域だけの数千件より、状態で絞った数十〜数百件の方が商談になります
  • 状態が先、部署が後:求人を出した、新店を出した、展示会に出たなど、いま動いている企業を選び、そのあと話すべき部署を決めます
  • 代表番号より部署直通:担当者と話せる数が変わり、同じアポ率でも商談の数が増えます
  • リストは毎週直す:反応のない切り口は止め、断り理由をもとに次のリストを作ります
目次

新規開拓のリストとは?営業リストとの違いと、作るときの考え方

新規開拓のリストとは、まだ取引のない企業の中から、自社の商材を提案する相手を選び、会社名、部署、電話番号、選んだ理由などをまとめたものです。一般に営業リストと呼ばれるものと形は同じですが、新規開拓のリストには、なぜこの企業に連絡するのかという理由が入っている点が違います。

既存顧客のリストは、すでに関係があるので、名前と連絡先があれば話が始まります。新規開拓では相手はこちらを知らないため、電話をかけた瞬間に、なぜいま自社に連絡してきたのかを相手が判断します。その理由をリストの段階で用意しておくことが、新規開拓のリスト作成の中心です。

スリーグッドでは、新規開拓のターゲット選定を2つの軸で考えています。1つ目は企業の状態、つまり、いまその企業で何が起きているかです。2つ目は部署、つまり、その課題を持っていて判断に関わる人がどこにいるかです。業種や地域、従業員数は、この2つを決めたあとに範囲を整えるための条件として使います。新規開拓の手法そのものの選び方は、法人営業の新規開拓手法の比較と選び方で解説しています。

新規開拓のリストでよくある失敗

ご相談の段階で拝見するリストには、いくつか共通する失敗があります。

業種と地域だけで数千件を集めている

業種と地域で絞ると件数は簡単に集まります。ただし、その中でいま課題を抱えている企業は一部で、残りは電話をしても「間に合っています」で終わります。件数が多いことは、良いリストの条件ではありません。

代表番号しか入っていない

中堅・大手企業の代表番号にかけると、多くは受付で止まります。「新規のご提案はホームページのフォームから」「担当者は不在です」と言われ、担当者と一度も話せないまま終わることも珍しくありません。代表番号だけのリストは、作るのは楽でも、かける段階で大きな手間が残ります。

過去のリストを使い回している

以前の案件や前任者が作ったリストを、そのまま次の商材に使うケースです。商材が変われば、困っている企業も話すべき部署も変わります。また、一度断られた先にそのまま同じ話をしても結果は変わりません。過去のリストを使うなら、前回の断り理由を見て、新しい切り口で連絡し直す先だけを選ぶ必要があります。

一度作ったら更新しない

企業の担当者は異動し、部署名は変わり、電話番号も変わります。さらに、かけてみて初めて、この業種は反応がない、この規模の会社は本社で一括して決めている、といったことが分かります。最初に作ったリストを最後まで使い続けると、分かったことが次の電話に生かされません。

新規開拓のリストの作り方の手順

スリーグッドでは、案件ごとに次の順番でリストを作っています。社内で作る場合も同じ順番がおすすめです。

1. 売る相手の仮説を立てる

最初に、この商材はどんな企業の、どんな困りごとを解決するのかを書き出します。既存の顧客がいれば、導入のきっかけになった出来事を思い出してください。「人が足りなくなった」「店を増やした」「仕入れ先がなくなった」など、きっかけは業種よりも出来事で語られることが多いはずです。この出来事が、次の手順で使う状態の条件になります。

2. 企業の状態で条件を決める

仮説をもとに、いま動いている企業を見分ける条件を決めます。求人を出している、新しい店や拠点を出した、展示会に出展した、資金調達をした、予算を組む時期に入った、といった条件です。外から確かめられる事実で決めることが大切で、「困っていそうな企業」のような感覚の条件ではリストになりません。

3. 話すべき部署を決める

状態で絞った企業の中で、その課題を持っている部署と、判断に関わる部署を決めます。採用の課題なら人事部、店舗の集客なら販促や店舗開発、システムの入れ替えなら情報システム部や経営企画、と商材によって変わります。中小企業では社長が窓口になることも多いので、企業規模によって部署を変えることもあります。

4. 情報源を決めて企業を集める

状態の条件ごとに、どこを見れば該当する企業が分かるかを決めます。求人なら求人媒体、新店なら企業のお知らせや地域のニュース、展示会なら出展者一覧、といった形です。状態の条件と情報源をセットで決めておくと、担当者が変わっても同じ基準でリストを作れます。

5. 部署の直通番号を当てる

集めた企業に、手順3で決めた部署の直通番号を当てます。スリーグッドでは、約20万社・150万部署の部署直通番号のデータベースを持っていますが、このデータベースからリストを切り出しているわけではありません。リストは案件ごとに毎回新しく作り、そのリストの企業に、データベースから人事部や営業部などの直通番号を当てています。代表番号のリストと比べると、担当者と会話できる数はおよそ2倍になります。100件かけて8件話せていたものが16件になる計算です。

6. 優先順位をつける

すべての企業に同じ順番でかけるのではなく、状態の条件が新しいもの、複数の条件に当てはまるものから先にかけます。たとえば、今月求人を出していて、しかも新しい拠点を開いた企業は、3か月前に求人を出した企業より先にかける価値があります。

7. 断り理由で更新する

かけた結果は、つながったかどうかだけでなく、断られた理由まで記録します。「本社で一括管理している」「入れ替えたばかり」「担当部署が違う」など、断り理由はリストの直し方をそのまま教えてくれます。スリーグッドでは毎週の定例ミーティングで、どの切り口に反応があり、どの切り口を止めるかを決めています。

POINT:アポが取れるのは平均3〜5回目以降のコールが多いため、1〜2回つながらなかっただけでリストから外すのは早すぎます。外すかどうかは、つながった先の断り理由で判断します。

企業の状態の切り方の例

状態の条件は商材によって変わりますが、多くの商材で使える切り方があります。下の表は、スリーグッドがリストを作るときによく使う条件と、その状態の企業が抱えやすい課題、話すことが多い部署をまとめたものです。

企業の状態抱えやすい課題話すことが多い部署
求人を出している人手不足、採用の手間、定着人事部、総務部、拠点長
新店・新拠点を出した集客、設備や備品の準備、店舗運営店舗開発、販促、総務部
展示会に出展した集めた名刺の追客、商談化営業部、マーケティング部
資金調達や新規事業を発表した体制づくり、販路の確保経営企画、事業責任者
予算を組む時期に入った来期の施策選び経営企画、各部門の責任者
仕入れ先や取引先がなくなった代わりの取引先探し購買部、店主・料理長
他の媒体やサービスを使い始めた効果の比較、追加の施策マーケティング部、宣伝部

状態の条件は1つに決める必要はありません。最初の1〜2か月は2〜3種類の条件でリストを分けて作り、どの条件に反応があるかを比べます。どの条件が当たるかは、提案の段階では分からないことが多いからです。

POINT:状態の条件を決めるときは、自社が売りたい理由ではなく、相手がいま連絡を受けて意味がある理由で考えます。相手にとって意味のある理由は、電話の最初の一言にもそのまま使えます。

営業リストを無料で集める方法と、有料で集める方法の比較

営業リストの集め方は、大きく無料で集める方法と有料で集める方法に分かれます。どちらが良いかではなく、必要な情報の種類で使い分けるのが現実的です。

比べる点無料で集める方法有料で集める方法
主な情報源企業のホームページ、求人媒体、展示会の出展者一覧、ニュースやプレスリリース企業情報のデータベース、リスト作成サービス、名簿の購入
状態の条件最新の出来事を拾いやすい条件によっては拾えない、更新が遅れることがある
部署の情報代表番号しか分からないことが多い部署名や直通番号が入っていることがある
手間1件ずつ調べるため時間がかかるまとめて集められるが、絞り込みは別に必要
向いている場面件数が少なく、状態を細かく見たいとき件数が多い、部署の情報が必要なとき

無料で集める方法は、状態の条件を拾うのに向いています。求人を出した、店を出したといった出来事は、企業の発信やニュースに最初に出てくるからです。一方で、部署の直通番号まで無料で揃えるのは難しく、時間もかかります。有料のデータベースは件数と部署の情報に強い反面、条件だけで絞ると、業種と地域で数千件という最初の失敗に戻りやすくなります。

スリーグッドでは、状態の条件は公開情報から毎回集め、部署の直通番号は自社のデータベースから当てる、という組み合わせにしています。状態で絞る作業と、部署に届ける作業を分けて考えると、どちらの方法をどこに使えばよいかが見えてきます。リストの考え方とABMの関係は、インサイドセールス・BDRとABMの進め方でも解説しています。

営業リストを外注するときの確認点

営業リストの作成を外注する場合や、リスト作成を含めて営業代行に任せる場合は、件数や単価だけで選ぶと、最初の失敗をそのまま買うことになります。次の点を確認してください。

  • リストを案件ごとに作るか:手元のリストを渡すだけなのか、自社の商材に合わせて新しく作るのか
  • 状態の条件を一緒に決めるか:業種と地域だけで絞っていないか、どんな出来事で企業を選ぶのか
  • 部署の直通番号が入るか:代表番号だけのリストになっていないか
  • 断り理由を記録して返すか:かけた結果がリストの更新に使われるか
  • 終了後にリストが手元に残るか:使ったリストやかけた結果を受け取れるか
  • サンプルを見られるか:契約の前にリストや報告資料の見本を確認できるか

スリーグッドでは、リスト作成(部署直通番号の付与を含む)、架電、毎週の定例ミーティング、レポート作成を月額固定に含めており、初期費用はいただいていません。提案の段階でリストと定例資料のサンプルをお送りし、ご契約が終わるときには、使ったリスト、断り理由のデータ、トークをお渡しします。リストの品質を含めた運用の基準は品質管理の基準BtoBQSにまとめています。

なお、リストの切り方は、提案の時点では決めきれません。提案時に細かい数値目標を決めてしまうと、動き始めてからターゲットが変わったときに、目標と実態がずれていきます。スリーグッドでは、最初の1〜2か月で状態の条件を試し、反応のあった切り口が見えてから目標を決めています。

現場の記録:リストを変えて、結果が変わった例

ここからは、スリーグッドが担当した案件の記録から、リストの切り方で結果が変わった例をご紹介します。

同じ商材でも、業種によって反応に大きな差が出た

店舗向けのPOSレジの新規開拓(社名非公開)では、多店舗を展開する企業を業種ごとのリストに分けてかけています。同じ月、同じ体制で比べると、担当者と話せる割合も、アポイントにつながる割合も、業種によって大きく違いました。ある業種では受付で止まることが多く、本部で一括して決めているという断り理由も目立ったため、電話する部署と時期を見直しています。同じ商材でも、どの業種のどの状態の企業にかけるかで、コールの使い道は大きく変わります。

大手企業のマーケ・営業部門に絞った37件のリスト

オイシックス・ラ・大地株式会社の案件では、大手企業のマーケティング・営業部門に絞ったABMで、リストはわずか37件でした。件数は少なくても、アポ獲得率は20%を超え、6か月で6件の受注につながっています。相手と部署がはっきりしていれば、リストは少なくても成り立つことが分かる例です。

仕入れ先を失った店に絞った208社

スリーグッドが自社で運営している養殖魚の飲食店向け卸、SAKANA DIRECTでは、その食材を過去に扱っていて、仕入れ先を失った店に絞って208社に電話しました。結果は有効商談33件です。

一度決まらなかった先に、新しい切り口でかけ直した

株式会社Cqreeの冷凍自動販売機の案件では、過去に商談したものの決まらなかった先に、中古機で費用を抑えられるという新しい切り口で電話をかけ直し、改めてアポイントにつながりました。過去のリストは使い回すものではありませんが、断り理由が分かっていれば、次の提案の材料になります。

このほか、人材サービスの案件では、配送ドライバーの求人を出している法人を、物流拠点の多い地域の支店単位で選ぶ、という状態と部署の切り方でリストを作っています。パーソルホールディングス株式会社の案件は2020年8月から担当しており、新しいプロジェクトのたびにリストを作り直し、延べ2,000件以上のアポイントにつながっています。部署直通と状態の考え方は、テレアポの効率を上げるABMの考え方や、株式会社ハヤパスのBDR事例でも紹介しています。

よくある質問

新規開拓のリストは何件くらい必要ですか?

商材や相手によって変わるため、件数から決めることはおすすめしていません。状態と部署で絞ると、数十件から数百件になることが多く、オイシックス・ラ・大地株式会社の案件では37件のリストで受注につながりました。最初は2〜3種類の条件で分けて作り、反応を見て広げます。

業種と地域で絞るのはだめですか?

だめではありませんが、業種と地域は範囲を整えるための条件です。それだけで作ると件数が多くなり、いま課題のない企業が大半になります。先に企業の状態で絞り、そのあと業種や地域で範囲を整える順番がおすすめです。

一度断られた企業には、もうかけない方がいいですか?

断り理由によります。「入れ替えたばかり」なら時期を置いてから、「価格が合わない」なら費用を抑える提案ができるようになってから、新しい切り口でかけ直す価値があります。断り理由を記録しておくことが前提です。

部署の直通番号はどうやって調べればいいですか?

企業のホームページや求人情報、プレスリリースに載っていることもありますが、多くの企業は代表番号しか公開していません。スリーグッドでは、案件ごとに作ったリストに、自社の部署直通番号のデータベースから番号を当てています。

リストの作成だけを依頼できますか?

スリーグッドでは、リスト作成を架電や定例ミーティングと合わせて月額固定でお受けしています。リストは、かけた結果と断り理由で直していくことで精度が上がるため、作成と架電を一緒に進める形にしています。

料金はどのくらいかかりますか?

料金は、初期費用なしの月額固定と、初期費用と実施された商談1件ごとの成果報酬でお受けする成果報酬型の2つから選べます。金額は商材とターゲットによるため、初回のご相談でお見積もりをお出ししています。月額固定の最低契約期間は2か月で、ご契約日から稼働開始までは標準で14日です。

代表・田中からひとこと

私は魚の卸のルート営業から仕事を始め、今も自社で陸上養殖魚の卸事業(SAKANA DIRECT)を運営しています。SAKANA DIRECTの営業では、その魚を過去に扱っていて、仕入れ先を失った飲食店に絞って電話しました。208社への電話から有効商談は33件です。件数を増やすより、相手を絞るほうが早いと実感した経験でした。

相手にとって意味のある時期に、意味のある部署に連絡すれば、電話は営業ではなく相談になります。リストを作る作業は地味ですが、新規開拓の結果の大半はここで決まると私は考えています。件数を増やす前に、いまどの企業が動いているのかを一緒に考えるところから始めさせてください。

まとめ

新規開拓のリストは、件数ではなく切り方で結果が変わります。

  • リストは企業の状態で先に絞り、そのあと話すべき部署を決めます
  • 案件ごとに新しく作り、部署の直通番号を当てると、担当者と話せる数が増えます
  • 断り理由を記録し、反応のない切り口は止めて毎週リストを直します

リストを作り直しても成果が出ない、社内でリストを作る時間がない、という場合は、リスト作成から架電、毎週の振り返りまでまとめてご相談ください。営業代行を初めて検討される方は、初めて営業代行を依頼するときの進め方もあわせてご覧ください。

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