「人事部に電話しても、受付で『新規のご案内はお断りしています』と言われて終わる」「担当者につながっても『今は充足しています』の一言で切られる」「派遣も紹介も、どの会社も同じ話に聞こえてしまい、違いを伝えきれない」。人材派遣会社や人材紹介会社の方から、私たちはこうしたご相談をよくいただきます。
人事担当者のもとには、毎日のように人材会社から電話がかかってきます。登録者の数や対応の早さを伝えても、相手から見ればどこも同じ説明です。
先に結論をお伝えします。人材派遣・人材紹介の新規開拓は、トークを磨く前に、いま採用が動いている会社でリストを作り、断り理由を分けて記録し、時期で断られた会社を追い直す仕組みを作れるかどうかで結果が変わります。「充足しています」の多くは、断りではなく時期が合っていないという情報です。
本記事では、人材派遣・人材紹介・紹介予定派遣・副業人材のマッチング・採用支援といった人材サービスを、企業の人事部に売る営業について、うまくいかない理由、リストの作り方、断り理由ごとの切り返し、時期の考え方、数字の見方を、スリーグッドが担当してきた案件の記録をもとに解説します。
この記事の要点
- リストは業種や従業員数ではなく、求人サイトへの掲載や派遣の利用実績など、採用が動いている状態で作る
- 断り理由の半分以上は、担当者不在と受付での新規お断り。人事部門の直通番号と、不在時の聞き取りで減らせる
- 「充足」「正社員希望」「派遣は使わない」には、紹介予定派遣や今後に向けた情報提供で話を続ける
- 着電率と着電アポ率を分けて見て、新しいリストは一定のコール数を目安に、続けるか切り替えるかを決める
人材派遣・人材紹介の新規開拓で、営業代行にできること

人材派遣・人材紹介の営業代行とは、人材会社が企業の人事部や採用担当者に向けて行う新規開拓の営業を、社外のチームに任せるサービスです。電話で人事担当者とつながり、採用の状況を聞いたうえで、派遣の利用や人材紹介の相談につながる商談の場をつくります。
人材派遣会社や人材紹介会社として、営業代行への依頼を検討している方向けに、人材派遣会社向け営業代行と人材紹介会社向け営業代行のページで、進め方と料金をまとめています。採用代行(RPO)や副業人材のマッチングサービスは、採用代行(RPO)向け営業代行、副業人材マッチングサービス向け営業代行をご覧ください。
対象になる商材は、事務職や軽作業の人材派遣、正社員の人材紹介、紹介予定派遣、副業人材や業務委託人材のマッチング、採用代行や採用広報などの採用支援です。管理職研修やコンプライアンス研修のような研修系の商材も人事部が窓口ですが、窓口になる担当者と時期の考え方が違うため、別の記事「企業研修サービスの営業代行」で紹介しています。
人材サービスのテレアポは、相手の会社が今どんな採用をしているかで反応が大きく変わります。営業代行に任せる価値は、架電の件数よりも、どんな状態の会社が話を聞いてくれるのかを数字で確かめられることにあります。業界全体の進め方の概要は「人材サービスの営業代行」のページにまとめています。
人材派遣・人材紹介の新規開拓がうまくいかない理由
人事担当者まで届かない

人材サービスの営業で最初にぶつかるのは、担当者と話す前に止まることです。事務職中心の人材派遣・紹介の案件で、ある月の断り理由を分けてみると、担当者不在や戻り時間不明が最も多く、次に受付での取次不可や新規取引お断りが続きました。この2つで半分以上を占め、サービスの説明をする前の段階で止まっていたことになります。
代表番号にかけると、受付で「新規のご提案は問い合わせフォームから」と案内されがちです。倉庫・物流向けの派遣の案件でも、地域ごとに受付で止まる割合を比べると、本社への架電が多い東京がほかの地域より高く出ました。
「充足しています」で会話を終わらせている
人事担当者につながったあとの断りで多いのは「今は充足しています」「正社員しか採っていません」「派遣は使わない方針です」といったものです。どれも、その場で聞けば断りに聞こえます。ただ、充足しているのは今月の話で、半年後の欠員や繁忙期の人員はまだ決まっていないことがほとんどです。ここで会話を終わらせ、記録も残さなければ、次に電話する理由がなくなります。
業種や従業員数でリストを切っている
人材サービスのリストを、業種や従業員数、資本金で作る会社は多いと思います。副業人材のマッチングの案件では、従業員数や資本金とアポイントの間に相関は見られず、外部の求人サイトに募集を出している会社ほど、アポイントにも案件化にもつながる傾向がありました。会社の大きさより、いま採用が動いているかどうかのほうが結果に効きます。
同じリストを回し続けて、数字が落ちていることに気づかない
リストは回すほど反応が落ちます。倉庫・物流向けの派遣の案件では、各リストの3周目以降の架電が増えた月に、アポ率がはっきり下がりました。反応の良い会社はすでにアポイントになり、責任者に断られた会社は外しているため、残るのは担当者不在と受付NGの会社ばかりになるからです。新しいリストを入れる時期を決めていないと、稼働時間は同じでも結果が下がり続けます。
人材派遣・人材紹介の新規開拓の方法
採用が動いている状態でリストを作る

リストは、案件ごとに新しく作ります。基準にするのは業種や規模ではなく、人が必要になっている状態です。事務職の派遣なら事務職の求人を出している会社、倉庫・物流の派遣なら繁忙期の前に作業スタッフを募集している会社、というように、売りたい職種と相手の募集を合わせます。
| リストの条件 | その会社で起きていること | 案件での反応 |
|---|---|---|
| 外部の求人サイトに募集を出している | 採用を進めていて、媒体だけでは足りていない可能性がある | 副業人材の案件で、アポイント・案件化との相関が見られた |
| 派遣を使った実績がある | 派遣の受け入れに慣れていて、社内の手続きも分かっている | 事務職派遣の案件で、求人掲載とあわせてアポ率が高く出た |
| スキマバイトのアプリで短期の募集を出している | 短期の人手は足りていても、長期やまとまった人数に困っている | 倉庫・物流の案件で、他社と比べたいという相談につながった |
| 業界団体の会員企業 | 地域のリストが尽きたときに、同じ業種の会社を広く拾える | 倉庫・物流の案件で、地域リストの枯渇後に追加した |
| 以前に時期の理由で断られた | その後に募集の状況が変わっている可能性がある | 倉庫・物流の案件で、再アプローチからアポイントが生まれた |
POINT:副業人材のマッチングの案件では、当初はスタートアップのリストに架電していましたが、リモートワークの会社が多く、電話を受けるのが受電代行の会社であることもあり、担当者にほとんどつながりませんでした。リストの条件は、相手の採用の状態だけでなく、電話で担当者に届く会社かどうかもあわせて考えます。
人事部門の直通番号で、担当者不在を減らす
担当者不在と受付NGを減らすには、代表番号ではなく人事部や採用担当の直通番号にかけるのが近道です。スリーグッドは20万社・150万部署の部署直通番号のデータベースを持ち、案件ごとに作ったリストに直通番号を当てています。代表番号のリストと比べると、担当者と会話できる数はおよそ2倍になります。100件かけて8件だった会話が16件になる計算です。
それでも担当者が不在のことはあります。不在のときに、採用担当の方のお名前と、戻る時間帯を聞けるかどうかで、次の架電の質が変わります。お名前が分かった会社は見込みとして分けて管理し、聞いた時間帯にかけ直します。事務職派遣の案件では、見込み先への追客とリストの見直しを続ける中で、着電率が数か月続けて上がりました。
断り理由ごとに切り返し方を決める
人材サービスの断り理由は、ある程度決まっています。理由ごとに、その言葉が実際に何を意味しているかと、どう話を続けるかをクライアントと決めておきます。
| 断り理由 | 実際に多い状況 | 話の続け方 |
|---|---|---|
| 今は充足している | 今月の募集は決まったが、欠員や繁忙期の人員は未定 | 急な欠員や今後の募集に備えた情報提供として、ご挨拶の場をお願いする |
| 正社員しか採らない | 正社員で採りたいが、採用後のミスマッチを心配している | 紹介予定派遣や人材紹介を、見極めてから切り替える方法として紹介する |
| 派遣は使わない方針 | 使ったことがなく、受け入れ方が分からない | キャリア採用以外の採用の手段について、将来の検討材料として情報交換をお願いする |
| 付き合いのある派遣会社がある | 依頼しても人数が集まらない、品質に不満がある | 比較の対象として、一度話を聞いてもらう |
| 本社で一括管理している | 拠点には採用の権限がない | 本社の窓口と担当部署を聞き、本社に当て直す |
| 今の時期は検討していない | 繁忙期や年度替わりの前に検討する | いつ頃なら検討するかを聞き、その時期に再架電する予定を記録する |
事務職派遣の案件では、正社員希望の断りに対して「最近は採用後のミスマッチを避けるために、紹介予定派遣で一緒に働いて見極めてから切り替える会社が増えています」と返すトークを加えました。ある月は、獲得したアポイントの大半が、充足・正社員希望・派遣不可といった断りから話を続けて取れたアポイントでした。
時期で断られた会社を、時期を決めて追い直す
人材サービスは、時期で反応が大きく変わる商材です。倉庫・物流の派遣では、年末と3月の繁忙期の前に人員確保の話が動きます。この案件では、繁忙期の作業スタッフの調整という切り口でトークを組み直し、直近のニーズではなく「3月の繁忙期に向けた選択肢の一つ」として提案したことで、検討してもらえる会社が増えました。「3月の繁忙期の話は、2月に入ってから改めて連絡してほしい」という断りも、そのまま再架電の予定になります。
過去に架電した地域のリストに戻ることも有効でした。首都圏の地域リストに、時期や担当者の理由で断られた会社を優先して架電し直したところ、追加でアポイントが取れ、下がっていたアポ率も持ち直しました。前回の断り理由の記録から先にかける会社を決められたことと、その間に募集の状況が変わった会社があったことが理由です。
事務職派遣の案件でも、約1年のあいだに7回以上の接触を続けた会社で、事務職の募集が出たタイミングをとらえてアポイントにつながった例があります。時期で断られた会社は、断りの一覧ではなく、次に電話する日付つきの一覧として管理します。
数字の見方と、リストを切り替える基準
人材サービスのテレアポは、架電アポ率だけを見ていると、何を直せばいいのかが分かりません。スリーグッドでは、着電率と着電アポ率を分けて記録し、どちらが動いたかで打ち手を決めています。
| 指標 | 何が分かるか | 下がったときに見るところ |
|---|---|---|
| 着電率(担当者につながった割合) | リストと番号が、担当者に届く状態になっているか | 直通番号の有無、架電の時間帯、本社と拠点のどちらにかけているか |
| 着電アポ率(つながった相手のうちアポになった割合) | 相手の採用の状況とトークが合っているか | 断り理由の内訳、リストの条件と売りたい職種のずれ |
| 架電アポ率(架電数に対するアポの割合) | 全体として、その稼働でどれだけ商談の場ができたか | 上の二つのどちらが下がったのか |
事務職派遣の案件では、着電率が続けて上がった一方で、架電アポ率は横ばいの月が続きました。従業員数の多い会社に人事・採用部署を足したリストは、担当者にはつながるのに、アポイントにはなりませんでした。つながるのに決まらない場合は、リストの採用の状態か、トークのどちらかが合っていないという合図です。
POINT:新しいリストを試すときは、続けるかどうかの基準を先に決めておきます。副業人材のマッチングの案件では、着電率やアポ率が基準を下回る新規リストは、一定のコール数を上限に切り替えを検討するルールにしていました。基準があると、反応の悪いリストに稼働を使い続けることがなくなり、早めに次の条件を試せます。
現場の記録(人材サービスの新規開拓)

人材サービスの新規開拓で、スリーグッドが担当してきた案件の進め方と、そこで見えた傾向をご紹介します。
副業人材のマッチングサービス
副業人材と企業をつなぐサービスの新規開拓を担当しました。スタートアップのリストから、外部の求人サイトに募集を出している中堅規模の企業に切り替えました。トークも「専門性の高い副業人材の活用」から、「キャリア採用以外の採用の必要性と、将来の検討材料としての情報交換」に変えたところ、人事担当者に話を聞いてもらえるようになりました。1周目で取りこぼした会社にも、変更後のトークでかけ直し、継続的にアポイントを積み上げました。
事務職中心の人材派遣・紹介・紹介予定派遣
事務職を中心にした人材派遣、人材紹介、紹介予定派遣の新規開拓を、東京・神奈川を中心に続けています。大手の転職サイトに事務職の求人を出している会社や、派遣を使った実績のある会社のリストでアポ率が高く出ました。冬の時期はつながりにくさと決まらなさが重なって苦戦しましたが、見込み先への追客と断り理由ごとの切り返しで立て直しています。
倉庫・物流向けの人材派遣
倉庫・物流の派遣採用担当者や倉庫の責任者に向けて、首都圏と関西で新規開拓を担当しました。稼働を始めた月は、担当者と話せてもアポイントになる割合が低い状態でした。繁忙期の人員確保という切り口にトークを組み直すと、担当者と話せた相手がアポイントになる割合が大きく上がり、繁忙期の前にはアポイント数も大きく伸びました。地域のリストが尽きたあとは、別の地域のリストや、業界団体の会員企業のリストを加えました。稼働初月のアポイントからスポット派遣の依頼が決まり、売上につながっています。
パーソルホールディングス株式会社の新規事業
2020年8月から、新しいプロジェクトが立ち上がるたびに、市場にニーズがあるかを確かめる営業を担当してきました。POSやシフト管理のSaaSなど、新しい商材が出るたびに依頼をいただき、延べ2,000件以上のアポイント、毎月50件以上、架電アポ率は平均2.1%です。ほかの人材サービスの事例は「人材サービスの営業代行のページ」でご覧いただけます。
料金と期間の目安

料金は月額固定で、初期費用はかかりません。人材サービスの新規開拓は、多くの場合、企業の人事部に向けた営業になるため、プラン①が目安です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 月額固定・初期費用なし。プラン①大手・中堅・ニッチ市場・自治体向け 月20万〜50万円、プラン②中小企業・店舗向け 月50万〜200万円(税別、工数による) |
| 月額に含むもの | リスト作成(部署直通番号の付与を含む)、架電、毎週の定例ミーティング、レポート作成 |
| 別料金 | 商談代行、訪問の交通費、メール・フォーム営業など |
| 最低契約期間 | 2か月 |
| 稼働開始まで | ご契約日から標準14日 |
| 終了時にお渡しするもの | 使ったリスト、断り理由のデータ、トーク |
最初の2か月は、どの商材を、どんな採用の状態の会社に当てると反応があるかを確かめる期間です。初めて営業代行を検討される方は「営業代行を初めて依頼するときの進め方」もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q1. 人材派遣と人材紹介の両方を扱っていますが、一緒に頼めますか
頼めます。派遣と紹介では反応する会社の状態や話す内容が違うため、リストとトークを分けて進め、反応を比べながら稼働を配分します。
Q2. リストはこちらで用意する必要がありますか
不要です。案件ごとに、求人サイトへの掲載や派遣の利用実績などの条件で新しくリストを作り、人事部門の直通番号を当てて架電します。お持ちのリストや、過去に断られた会社の一覧があれば、それも活用します。
Q3. 人材サービスの営業を担当した経験のある人が架電しますか
人材サービスの商材を担当した経験のあるメンバーだけをアサインします。初めての領域にあたる場合は、契約前にお伝えします。
Q4. アポイントの件数は約束してもらえますか
最初の2か月は、どの会社に反応があるかを確かめる期間のため、件数のお約束はしていません。成果は有効商談で数え、資料送付の約束などは件数に含めません。結果をもとに、その後の目標と稼働量を一緒に決めます。
Q5. 通話の品質はどう管理していますか
通話は録音し、ディレクターが聞いてトークを直しています。採用時のロープレ、30項目のトレーニングシートなど、品質管理の基準を定めています。
品質管理の詳しい内容は、品質管理の基準「BtoBQS」のページで公開しています。提案の段階で、リストと定例資料のサンプルもお送りします。
代表・田中からひとこと
私は魚の卸のルート営業から営業の仕事を始め、京都・先斗町の和食店で1年間板場に立ったあと、光通信系の営業会社ではテレアポの成績1位も経験しました。営業代行を始めたのは、運営していた民泊がコロナで売上9割減になったことがきっかけです。今は自社でも陸上養殖魚の卸事業SAKANA DIRECTを運営し、自分たちの商材で毎月電話をかけています。
人材サービスの営業では、「充足しています」と言われた会社の一覧が、そのまま次の繁忙期の架電リストになります。断られた会社を捨てずに、理由と時期を残しておくだけで、半年後の結果が変わります。トークを変える前に、どんな会社にかけているかを見直してみてください。いま採用が動いている会社に、人事の担当者まで届く番号でかける。そのうえで断り理由を分けて記録する。この順番で進めれば、人事部への新規開拓は数字で改善できる営業になります。
まとめ
- リストは業種や従業員数ではなく、求人サイトへの掲載や派遣の利用実績など、採用が動いている状態で作る
- 断り理由を分けて記録し、充足・正社員希望・派遣不可には紹介予定派遣や情報提供で話を続ける
- 時期で断られた会社は再架電の日付つきで管理し、着電率と着電アポ率を分けて見てリストを切り替える
人材派遣・人材紹介の新規開拓は、件数を積み上げるだけでは改善しません。どんな状態の会社が話を聞いてくれたのか、どの断りにどう返せば話が続いたのかを、数字と会話の記録で残していくことが、次の売上につながります。スリーグッドは、200社以上の新規開拓で積み上げた進め方をもとに、最初のリスト作りからご一緒します。まずは今の商材と、狙いたい会社の採用の状況をお聞かせください。
人材派遣会社や人材紹介会社として、営業代行への依頼を検討している方向けに、人材派遣会社向け営業代行と人材紹介会社向け営業代行のページで、進め方と料金をまとめています。採用代行(RPO)や副業人材のマッチングサービスは、採用代行(RPO)向け営業代行、副業人材マッチングサービス向け営業代行をご覧ください。
株式会社スリーグッド 代表取締役 田中祐貴
X:@threee_sales HP:threegood.net

