新規開拓がうまくいかない理由|止まっている段階の見分け方と、経営として直す順番

ホワイトボードに図を描く手元

「営業担当を増やしたのに、新規の受注が増えない」「展示会もテレアポも試したが、どれも続かなかった」「既存のお客様の対応で手一杯で、新規開拓がいつも後回しになる」。経営者や営業責任者の方から、新規開拓についてこうしたご相談をよくいただきます。

新規開拓は、既存顧客への営業と比べて断られる回数が多く、成果が出るまでに時間がかかります。そのため、うまくいかない状態が続くと、担当者の頑張りが足りないのではないか、営業に向いた人がいないのではないか、と考えてしまいがちです。

先に結論をお伝えします。新規開拓が止まる原因の多くは、担当者の気合や話し方ではなく、売る相手の決め方、成果の数え方、新規開拓に使う時間の取り方にあります。まず、相手に会えないのか、会えても商談にならないのか、商談になっても決まらないのか、止まっている段階を切り分けます。そのうえで、売る相手を絞り、2か月で反応を確かめ、続けるかやめるかを決める順番で直すと、新規開拓は立て直しやすくなります。

本記事では、京都の営業代行会社スリーグッドが、これまで200社以上の新規開拓を担当してきた記録をもとに、新規開拓がうまくいかない原因と、経営として直す順番を解説します。止まっている段階を確かめる診断表と、実際の案件の数字もあわせて紹介します。

この記事の要点

  • 新規開拓がうまくいかないときは、相手に会えない、商談にならない、決まらない、のどの段階で止まっているかを先に切り分ける
  • 原因の多くは担当者個人ではなく、売る相手が広すぎる、代表番号に掛けている、掛ける回数が足りない、といった仕組みの側にある
  • 提案時に決めた目標や、やめる基準のない計画に縛られると、反応のない相手に時間を使い続けてしまう
  • 2か月で売る相手を確かめ、断り理由を記録し、続ける・変える・やめるを決める流れにすると、新規開拓は立て直せる
目次

新規開拓がうまくいかないとは?止まっている段階を切り分ける

新規開拓とは、これまで取引のなかった企業と新たに取引を始めるための営業活動です。手法には電話、メール、展示会、紹介、広告などがあり、それぞれの特徴は新規顧客開拓の手法8つで解説しています。

新規開拓が難しい、うまくいかない、と一口に言っても、止まっている場所は会社によって違います。営業の流れを3つの段階に分けると、どこを直せばよいかが見えてきます。

段階1:相手に会えない

電話をしても受付で断られる、担当者が不在のまま話せない、メールやフォームに返信が来ない、という状態です。トークや資料の良し悪し以前に、決める立場の人に届いていません。リスト、電話の掛け先、掛ける回数を見直す段階です。

段階2:会えるが商談にならない

担当者とは話せるものの、「今は必要ない」「他社を使っている」で終わり、説明の場を設けるところまで進まない状態です。売る相手が、いまその商材を必要としている状態にないか、伝えている切り口が相手の困りごとと合っていない可能性があります。

段階3:商談になるが決まらない

商談の数はあるのに、検討のまま止まる、価格で負ける、次の連絡が来ない、という状態です。商談に出てくる相手が決める立場にない、予算の時期が合っていない、あるいは商談数を増やすために興味の薄い相手まで商談に数えている、といった原因が考えられます。スリーグッドが資料送付の約束などを数えず、担当者が課題を認識したうえで説明の場を設ける有効商談だけを成果として数えているのは、この段階のずれを防ぐためです。

POINT:段階によって、直すべき場所はまったく違います。相手に会えていないのにトークを磨いても、決まらない商談を増やすためにコール数を増やしても、数字は動きません。まず自社がどの段階で止まっているかを、件数で確かめることから始めます。

新規開拓がうまくいかない理由

ここからは、スリーグッドが担当してきた案件で、新規開拓が止まっていた原因として多かったものを紹介します。どれも担当者個人の能力ではなく、経営や営業責任者が決める範囲の話です。

売る相手が広すぎる

「中小企業全般」「飲食店すべて」のように売る相手を広く取ると、リストの中に、いまその商材を必要としていない会社が大量に混ざります。担当者は断られ続け、アポイントが取れても温度の低い商談になりがちです。

店舗工事・内装を手がける株式会社日成クリエイトは、自社のテレアポと飛び込み営業で、過去3年間の新規受注がありませんでした。新規出店や事業転換を公表している企業に絞ったリストに切り替えたところ、3件の受注につながり、うち1件は継続的な取引になっています。業種や地域だけでなく、新しく店を出す、事業を変える、といった企業の状態でリストを切ると、同じ電話でも反応が変わります。

代表番号に掛けている

中堅・大手企業の代表番号に電話すると、多くは受付で「新規のお取引はお取次ぎできません」と断られます。担当者の名前も部署も分からないまま、何度掛けても先に進みません。

スリーグッドは、20万社・150万部署の部署直通番号のデータベースを持っており、案件ごとに新しく作ったリストに、人事部やマーケティング部などの直通番号を当てて架電します。代表番号のリストと比べると、担当者と会話できる数はおよそ2倍になります(100件に掛けて担当者と話せるのが8件から16件になる計算です)。相手に会えない段階で止まっている会社は、まず掛け先を見直すことをおすすめします。詳しくはBtoBテレアポの効率を上げるABMの考え方で解説しています。

片手間で、掛ける回数が足りない

社内の営業担当が既存顧客の対応の合間に新規開拓をしていると、1社に掛けるのは1〜2回で終わりがちです。不在が続けば、そのままつながらなかった先としてリストから外れていきます。

スリーグッドの記録では、アポイントが取れるのは平均して3〜5回目以降のコールであることが多くあります。3〜5回掛けてつながらないからといって見込みなしとするのは、機会損失です。

一方で、同じリストに何周も掛け続けると、つながる率は下がっていきます。ある案件では、リストを投入して数週間たつと、担当者につながる割合がはっきり下がりました。新しく投入したリストは着電率もアポ率も保てていたため、4周目まで不在が続いたリストはメールなど別の方法に回し、新しいリストが届くまで架電を抑える判断をしています。掛ける回数は、粘ることと打ち切ることの両方を決めておく必要があります。

提案時に決めたKPIに縛られる

新規開拓を始めるときに、月に何件のアポイント、アポ率何%、といった目標を先に決めることはよくあります。ただ、新しい相手への営業では、始める前に正しい数字を出すことはできません。動かしてみるとターゲットや切り口を変える必要が出てくるのに、最初の目標に合わせて、反応の薄い相手に量を打ち続けることになります。

スリーグッドでは、KPIは提案の段階では決めず、1〜2か月動かして反応を見てから決めています。提案時に数字を出して受注し、キックオフでターゲットが変わる、という進め方こそ、営業代行がうまくいかない大きな原因だと考えているためです。社内で新規開拓を進める場合も同じで、最初の数字は仮置きとし、見直す時期を決めておく方が、現場が数字に縛られずに済みます。

断り理由を記録していない

電話や商談で断られた理由を残していないと、なぜ決まらないのかを誰も説明できません。担当者の感覚で「最近は反応が悪い」と報告され、トークを変えるのか、リストを変えるのか、判断の材料がない状態が続きます。

店舗向けシステムのある案件では、月の途中で断り理由を集計したところ、他社サービスをすでに導入しているという理由が大半を占めていました。前回と同じ理由で断られた先や、担当者が退職や異動をしていた先が一定数あることも分かりました。ここまで分かると、競合が入り込んでいない業態に比重を移す、担当者名を確かめてから掛け直す、といった次の手を決められます。

撤退・見直しの基準を決めていない

新規開拓は、続けるかやめるかの基準を決めずに始めると、成果が出ないまま半年、1年と続いてしまいます。担当者は「もう少しやれば」と考え、経営側も止める理由を持てません。いつ、どの数字を見て、続ける・変える・やめるを判断するかは、始める前に決めておくものです。

新規開拓の直し方

原因が分かったら、経営として直す順番を決めます。スリーグッドが案件で使っている進め方をもとに紹介します。

2か月で売る相手を確かめる

最初から1つのターゲットに絞りきるのではなく、候補になる相手を2〜3に分けてリストを作り、同じ期間で電話して反応を比べます。業種だけでなく、新規出店や予算の時期といった企業の状態と、電話する部署で切ると、違いが見えやすくなります。1か月目で反応の差が出始め、2か月目に切り口を変えて確かめる、という流れで進めると、2か月あれば続ける相手の見当がつきます。

試験的に営業して確かめる考え方はテストセールス(PoC)の進め方で、新しい市場で候補を選ぶ方法は新市場開拓の進め方で詳しく解説しています。

やめる時点を先に決める

始める前に、判断する時期と見る数字を決めておきます。たとえば、2か月目の終わりに、担当者と話せた件数、そこから商談になった割合、断り理由の内訳を見て、続ける・切り口を変える・やめるのどれかを選ぶ、と決めます。判断の場には、現場の担当者だけでなく、経営者か営業責任者が同席するようにします。

POINT:やめる判断も成果です。2か月で反応がないと分かれば、その相手に使うはずだった半年分の時間を、次の候補に回せます。

既存顧客と新規開拓の時間配分を決める

新規開拓と既存顧客の割合に、どの会社にも当てはまる正解はありません。ただ、割合を決めずに同じ担当者に両方を任せると、目の前の既存顧客の対応が優先され、新規開拓の時間はほとんど残りません。

まず、既存顧客からの売上で、今後の目標にどこまで届くかを確かめます。届かない差の分が、新規開拓で埋める必要のある売上です。そのうえで、新規開拓に使う時間を、週の予定の中に先に確保します。既存顧客の営業と新規開拓では、目的も成果の見方も違うため、次のように分けて考えると整理しやすくなります。

項目既存顧客の営業新規開拓
主な目的継続・追加の受注、解約を防ぐまだ取引のない相手から最初の受注をつくる
時間の取り方問い合わせや依頼に合わせて動く週の予定に先にブロックとして確保する
成果の見方売上、継続率、追加受注担当者と話せた件数、有効商談、断り理由
判断の時期月次・四半期1〜2か月ごとに続ける・変える・やめるを決める
任せ方の例社内の担当者が持つ相手を確かめる部分を外部に任せることもできる

社内に新規開拓の時間を確保できない場合は、相手を確かめる部分だけを外部に任せ、商談と既存顧客の対応は社内で持つ、という分け方もあります。外部に任せる範囲の考え方は営業組織のアウトソーシングで解説しています。

段階別の診断表

自社の新規開拓がどの段階で止まっているかを、次の表で確かめてください。直近1〜2か月の件数を、担当者と話せた件数、商談になった件数、受注した件数に分けて並べると、どこで大きく減っているかが分かります。

止まっている段階よく見るサイン主な原因最初に直すこと
相手に会えない受付で断られる、担当者の不在が続く代表番号に掛けている、掛ける回数が足りない部署直通番号に切り替え、1社に3〜5回以上掛ける
会えるが商談にならない「今は不要」「他社を使っている」で終わる売る相手が広い、切り口が合っていない企業の状態でリストを切り直し、断り理由から切り口を変える
商談になるが決まらない検討で止まる、次の連絡が来ない決める立場にない、予算時期のずれ、温度の低い商談有効商談の基準を決め、電話する部署と時期を見直す
どの段階にも手が回らない新規開拓に使う時間が月に数日しかない既存顧客の対応が優先されている新規開拓の時間を先に確保し、外部に任せる範囲を決める

複数の段階に当てはまる場合は、表の上から順に直します。相手に会えないまま商談の質を上げようとしても、改善を確かめるだけの件数が集まらないためです。

現場の記録:新規開拓を立て直した事例

時期でターゲットを切り替え、3か月で有効商談59件(株式会社BeOne)

ゲーム型のキャリア研修を手がける株式会社BeOneは、代表2名の会社で、2人とも営業経験がなく、ターゲットもトークもリストもない状態からのスタートでした。11月は翌年度の予算要求に間に合う時期として自治体を中心に、12月中旬から民間企業を増やし、1月は自治体の予算が閉じるため民間中心に切り替えました。週1回の定例で、誰が興味を示し、誰が何を理由に断ったかを共有し、次のターゲットとトークを決めています。

3か月で1,294コール、有効商談59件(アポ率4.6%)。月別のアポ率は6.5%、3.6%、5.0%でした。当初の目標は4か月で26件だったため、3か月でその2倍以上になりました。

狙う相手と切り口を変え、商談が安定した(株式会社Suus)

管理職向けの1on1コーチングや企業研修を提供する株式会社Suusは、顧問の紹介やDMで経営層に会えても、案件にならない状態でした。スリーグッドでは狙う相手を経営層から現場の担当者・課長層に変え、管理職育成や離職防止という一般的な訴求ではアポイントが伸びないことを、着電時のアポ率と電話での反応から確かめました。そこで、研修が定着しない、やりっぱなしになる、という切り口に切り替えたところ、アポイントが安定しました。累計約150件の商談から6社の受注につながっています。

決まらなかった先に、別の切り口で掛け直した(株式会社Cqree)

冷凍自動販売機を扱う株式会社Cqreeでは、過去に商談したものの決まらなかった先に、中古機で費用を抑えられるという新しい切り口で電話をし直し、改めてアポイントにつながりました。商談になるが決まらない段階で止まった相手も、断り理由が分かっていれば、伝える内容を変えてもう一度声をかけられます。

よくある質問

新規開拓がうまくいかないとき、最初に見るべき数字は何ですか。

架電数やアポイント数の合計よりも、担当者と話せた件数、そこから商談になった件数、商談から受注した件数を段階ごとに並べて見ます。どこで大きく減っているかで、止まっている段階と直す場所が分かります。

新規開拓と既存顧客の割合は、どのくらいがよいですか。

どの会社にも当てはまる割合はありません。既存顧客からの売上で目標に届かない差を出し、その差を埋めるために必要な新規開拓の時間を、週の予定に先に確保する考え方をおすすめしています。

1社に何回まで電話すればよいですか。

スリーグッドの記録では、アポイントが取れるのは3〜5回目以降のコールが多く、3〜5回で見込みなしとするのは機会損失です。一方で、同じリストに何周も掛けるとつながる率は下がるため、回数の上限と、メールなど別の方法に回す時点を決めておきます。

新規開拓の成果は、どのくらいの期間で判断できますか。

売る相手を確かめるのに1〜2か月を見ています。スリーグッドの最低契約期間は2か月で、ご契約日から稼働開始までは標準14日です。KPIは提案の段階では決めず、動かした結果を見てから決めます。

新規開拓を外部に任せるとき、成果報酬で頼めますか。

頼めます。スリーグッドの料金は、初期費用なしの月額固定と、初期費用と実施された商談1件ごとの成果報酬でお受けする成果報酬型の2つから選べます。売る相手がまだ決まっていない段階なら月額固定で相手を確かめ、売る相手が決まっているなら成果報酬型も合います。金額は商材とターゲットによるため、初回のご相談でお見積もりします。

営業代行に任せると、自社には何が残りますか。

毎週の定例ミーティングとレポートで、反応のあった相手や断り理由を共有します。契約終了時には、使ったリスト、断り理由のデータ、トークをお渡しするため、その後の社内の新規開拓に使えます。

代表・田中からひとこと

私は魚の卸のルート営業から始まり、独立後はウォーターサーバーや光回線の営業代理店を営んできました。コロナで売上の9割を失って営業代行に転じてから、200社以上の新規開拓を担当してきましたが、うまくいかない案件を振り返ると、原因が担当者の話し方にあったことはむしろ少なく、電話する相手、電話する時期、成果の数え方のどれかがずれていたことがほとんどでした。

新規開拓で経営者の方にお願いしたいのは、最初から正解を決めようとしないことです。2か月で相手を確かめ、断り理由を集め、やめる時点を決めておけば、うまくいかなかった期間も次に使える材料になります。新規開拓が止まっていると感じたら、まずどの段階で止まっているかを一緒に確かめるところからご相談ください。初めて外部への依頼を検討される方は、はじめて営業代行を利用するときのポイントもあわせてご覧ください。

まとめ

新規開拓がうまくいかないときは、担当者を責める前に、売る相手の決め方、成果の数え方、時間の取り方といった仕組みの側を見直します。

  • 相手に会えない、商談にならない、決まらない、のどこで止まっているかを件数で切り分ける
  • 売る相手を企業の状態と部署で絞り、部署直通番号と十分な回数で担当者に届ける
  • KPIは1〜2か月動かしてから決め、断り理由を記録し、続ける・変える・やめるの時点を先に決める

スリーグッドは、提案の段階でリストと定例資料のサンプルをお送りし、成果は有効商談で数えます。料金は月額固定と成果報酬型の営業代行の2つから選べます。新規開拓が止まっている段階を確かめるところから、お気軽にご相談ください。

目次