テストセールス(営業PoC)とは?市場の反応を2か月で確かめる進め方と、見るべき数字

自治体に営業をしている女性たち

「新しいサービスを出したが、どの業界に売れるのか分からない」「本格的に営業組織を作る前に、市場の反応を確かめたい」「アンケートでは好評だったのに、実際に売り込むと反応が薄い」。新しい商材を出すとき、多くの会社がこの段階で迷います。

市場の反応を確かめる方法として、アンケートやインタビュー、展示会もあります。ただ、実際に電話で売り込んだときの反応ほど、購買に近い情報はありません。相手が商談に応じるか、どんな理由で断るかは、売り込んでみないと分からないからです。

先に結論をお伝えします。テストセールスで確かめるべきなのは、アポが何件取れるかではなく、どの部署の、どんな状態の企業に反応があるかです。そのためには、切り口を複数用意して、同じ条件で比べることが欠かせません。

本記事では、テストセールス(営業PoC)の定義、市場調査との違い、2か月で反応を確かめる進め方、期間中に見るべき数字、終わったあとの判断を、事例とあわせて解説します。

この記事の要点

  • テストセールスとは:実際に売り込んで、どの相手に反応があるかを確かめる短期の営業
  • 期間の目安:2か月。1か月目で切り口を比べ、2か月目で反応のある切り口に寄せる
  • 見るべき数字:アポ率だけでなく、着電率・着電アポ率・断り理由の内訳
  • 終わったあと:反応のあった組み合わせで目標と稼働量を決め、広げる段階に移る
目次

テストセールス(営業PoC)とは?市場調査との違い

テストセールスとは、新しい商品やサービス、または新しい市場に向けて、実際に営業をかけて反応を確かめる取り組みです。営業PoC(Proof of Concept、概念実証)や試験稼働と呼ばれることもあります。

市場の反応を確かめる方法はいくつかありますが、テストセールスは、相手が実際に商談に応じるかという、購買に近い反応が集まる点が違います。

方法分かること分からないこと
アンケート・インタビュー関心の有無、課題の言葉実際にお金を払うか、誰が決めるか
展示会関心を持つ層、名刺の数その後に商談に進むか
テストセールス商談に応じる相手、決める部署、断る理由長期の継続率(受注後に分かる)
本格稼働量を増やしたときの受注数(売れる相手が決まっていることが前提)

アンケートで好評だったのに売れない、という状態は、関心と購買の間に差があることから起きます。テストセールスは、その差を埋めるための期間です。

POINT:テストセールスの目的は、アポを多く取ることではなく、どの部署の、どんな状態の企業に反応があるかを見つけることです。

テストセールスが必要になる3つの場面

1. 新しい商品・サービスを出したとき

どの業界・どの部署に売れるかが分かっていない段階です。今の顧客と同じ相手に売れるとは限らないため、切り口を複数用意して確かめます。

2. 既存の商品で新しい市場に出るとき

今の顧客には売れている商品でも、新しい業界や企業規模では、決める部署も判断の基準も違います。今の売り方が通じるかを、本格的に投資する前に確かめます。

3. 営業組織や広告に投資する前

採用や広告に投資してから売れる相手が違ったと分かると、取り戻すのに時間がかかります。先に売れる相手を確かめておくと、投資の判断がしやすくなります。

切り口の作り方:部署と企業の状態を組み合わせる

テストセールスの成否は、最初に用意する切り口で大きく変わります。業種と規模だけで切ると、反応がなかったときに原因が分かりません。決める部署と、企業がいまどんな状態にあるかを組み合わせて、切り口を作ります。

商材の例部署の仮説状態の仮説
採用管理のSaaS人事部、採用担当求人を増やしている、新しい拠点を出した
店舗向けの集客支援店舗オーナー、本部の販促部新店をオープンした、改装した
製造業向けの調達代行購買部、生産技術部工場を新設・増設した、新製品を発表した
自治体向けのシステム担当課翌年度の予算を組む前の時期

1つの商材で、2〜4つの切り口を用意し、それぞれにリストを分けて架電します。

2か月で市場の反応を確かめる進め方

時期やること見るもの
稼働前(約2週間)切り口の設計、リスト作成、部署直通番号の調査、トーク作成切り口ごとのリストの数
1か月目切り口ごとに同じ量・同じ時間帯で架電切り口ごとの着電率と着電アポ率
2か月目反応のない切り口を止め、反応のある切り口に寄せる断り理由の変化、商談の中身
2か月目の終わり結果をまとめ、目標と稼働量を決める反応のあった組み合わせ

切り口ごとに条件をそろえる

切り口ごとに架電の量と時間帯をそろえて比べます。条件がそろっていないと、どの切り口が当たったのかが分かりません。

毎週、数字と会話の中身を見て直す

週次の定例で、切り口ごとの数字と断り理由を確認します。反応のない切り口は早めに止めて、反応のある切り口に寄せます。トークの言い回しを変えた場合は、変える前と後を分けて記録します。

2か月目の終わりに、次の判断をする

反応のあった組み合わせをもとに、目標と稼働量を一緒に決めます。

テストセールスで見るべき4つの数字

数字計算分かること
着電率担当者と話せた数 ÷ 架電数リストと時間帯が合っているか
着電アポ率アポ数 ÷ 担当者と話せた数訴求とトークが相手に合っているか
架電アポ率アポ数 ÷ 架電数全体の効率
断り理由の内訳理由ごとの件数次に何を変えるか

例えば店舗向けの集客支援では、新店オープン直後の店舗に絞ったリストで架電アポ率3.7%、担当者と話せた場合の着電アポ率35.7%になりました。一方、過去リストへの再架電は0.3%でした。同じ商材でも、リストの切り口によって結果が10倍以上変わることが分かります。

着電率が低ければリストか時間帯、着電アポ率が低ければ訴求かトーク、というように、数字を分けて見ると、直すべき場所が分かります。

POINT:アポ率だけを見ると、リストが悪いのか、トークが悪いのかが分かりません。着電率と着電アポ率に分けて見ることが大切です。

テストセールスの事例

スリーグッドが担当した案件から、テストセールスで売れる相手を見つけた例を4つ挙げます。

事例1:自治体向けAIサービス(社名非公開)

  • ターゲット:自治体の担当課
  • 課題:稼働初週の架電アポ率が1.5%
  • 戦略:断り理由から訴求を変え、架電数は増やさずにトークを修正
  • 成果:キーマンと接触したあとのアポ率が8.3%から27.8%に。7週で累計23件の有効商談

事例2:瓶ラムネの卸先開拓(社名非公開)

  • ターゲット:飲食店、温浴施設など
  • 課題:どの業態に売れるかが分かっていない
  • 戦略:業態ごとに切り口を分けて架電し、反応のある業態を探した
  • 成果:894コールで有効商談42件(架電アポ率4.7%、着電アポ率23.7%)

事例3:ローンチ前の飲食店向けファストパスサービス(株式会社ハヤパス)

  • ターゲット:飲食店(当初は行列店・多店舗チェーン・競合サービスの利用店)
  • 課題:サービスの認知がゼロで、どの店舗に響くかが分かっていない
  • 戦略:架電を市場調査として使い、最初に出る人の役職、理解の速さ、課題の言語化を記録。店舗運営にすでに投資している痕跡のある店に絞り直した
  • 成果:半年で約20店舗の導入。詳細はコラムで公開

事例4:ゲーム型キャリア研修(株式会社BeOne)

  • ターゲット:自治体と民間企業の人事部門
  • 課題:ターゲット・トーク・リストのどれもない状態
  • 戦略:時期に合わせて自治体中心と民間中心を切り替え、週1回の定例で反応と断り理由を共有
  • 成果:3か月・1,294コールで有効商談59件(アポ率4.6%)。詳細は対談で公開

4つに共通するのは、最初の切り口がそのまま当たったわけではなく、反応と断り理由から切り口を変えて、売れる相手を見つけていることです。

テストセールスと、本格的な新規開拓の違い

テストセールスと、売れる相手が分かったあとの本格的な新規開拓では、目的も報告の中身も違います。同じ契約の中で混ぜてしまうと、どちらの目的も中途半端になります。

項目テストセールス本格的な新規開拓
目的売れる相手を見つける見つけた相手に広げて、受注を増やす
期間2か月数か月〜継続
リスト切り口ごとに分けた小さめのリスト当たった条件で作った大きめのリスト
見る数字切り口ごとの着電率・着電アポ率・断り理由有効商談数、受注数、リストの残り
目標置かない(比べることが目的)テストセールスの結果から決める
報告の中心何が当たり、何が外れたか量の推移と、品質が保たれているか

テストセールスで目標件数を置かないのは、件数を追うと、達成しやすい切り口に架電が寄ってしまい、比べるための数字がそろわなくなるからです。目標は、テストセールスの結果を見てから一緒に決めます。

本格的な新規開拓に移ると、今度は量を増やしても品質を保てるかが課題になります。架電スタッフを増やすときの採用基準、通話の確認、リストの枯渇対策が、量を広げる段階の成果を左右します。

POINT:テストセールスは、比べるための期間です。件数の目標を置かないことで、どの切り口が当たったかがはっきりします。

テストセールスが終わったあとの3つの判断

  • 反応のある組み合わせが見つかった:その組み合わせで目標と稼働量を決め、広げる段階に移ります
  • 反応はあるが受注に届かない:商談の中身と提案を見直し、売り方そのものを変えるかを検討します
  • どの切り口にも反応がない:まだ市場に出す段階ではないことが早く分かったことになります。商品や価格の見直しに戻ります

どの結果になっても、2か月で判断できたこと自体に価値があります。広げる段階の進め方はGTM実行支援のページで紹介しています。

現場の記録:テストセールスの数字は、こう読む

スリーグッドが担当したテストセールスから、数字の読み方が分かる例を3つ挙げます。いずれも社名は非公開です。

例1:トークは機能しているのに、受注が出ない

陸上養殖の新規事業で、最初の1か月に149社へ架電した結果です。

数字結果読み方
着電率10.5%飲食店の昼夜の営業時間に左右される
担当者との接触率24.7%決裁者に届いたのは41件
担当者と話せたあとのサンプル依頼率42.6%トークは機能している
受注0件リストの切り方に原因がある

担当者と話せれば4割以上がサンプルを希望しているので、トークの問題ではありません。前向きだった相手を分解すると、その食材を以前扱っていて今は使っていない店でした。そこで、業種と掲載媒体で切ったリストから、こうした状態の店を探すリストに作り直しています。

例2:トークの入口を変えると、話せる割合が変わる

大手IT企業の自治体向けシステムでは、1週目の着電率が18.5%、架電アポ率が1.5%でした。2週目にトークの入口を製品の説明から業務の属人化と引き継ぎの話に変えると、着電率は41.4%、アポ率は17.2%に上がりました。3週目は架電数を増やしても、アポ率8.1%と目標の水準を保っています。担当者と話せた時間帯は13時台が約3割で、架電の時間もそこに寄せました。

例3:同じ商材でも、リストの種類で手応えが変わる

不動産会社の駐車場事業では、月極駐車場のリストで625件に架電し、アポ率は1.8%でした。決める人と電話番号を確かめにくいリストだったため、次の稼働では、時間貸し駐車場のリストに戻すことにしています。商談につながったのは、契約の更新時期を迎えていた相手でした。

POINT:テストセールスの数字は、着電率・接触率・接触後の反応・受注に分けて読むと、リスト、時間帯、トーク、商材のどこを直すべきかが分かります。

テストセールスの料金と期間

項目スリーグッドの場合
料金の形月額固定(初期費用なし)
料金の目安大手・中堅企業や自治体向けは月20万〜50万円、中小企業・店舗向けは月50万〜200万円。ご依頼の工数によって決まります
最低契約期間2か月
稼働開始ご契約日から標準14日
月額に含むものリスト作成、架電、定例MTG、レポート作成
終了時にお渡しするもの使ったリスト、断り理由のデータ、トーク

切り口を偏りなく比べるには、件数に応じて料金が変わる形より、月額固定のほうが向いています。進め方の詳細は営業PoC(試験稼働)のページにまとめています。

数字と一緒に集めるべき会話の情報

テストセールスでは、数字と同じくらい、会話の中身が判断の材料になります。架電のたびに、次の情報を記録します。

  • 最初に電話に出た人の役職:誰が窓口になっているか。決める人にたどり着くまでの経路が分かります
  • 説明への反応の速さ:説明してすぐに理解されるか、何度も聞き返されるか。商材の伝え方の課題が分かります
  • 相手が使った課題の言葉:相手が自分の言葉で話した困りごと。次のトークや資料にそのまま使えます
  • 今使っているもの:競合のサービスや社内のやり方。乗り換えの理由を作る材料になります
  • 決める人と時期:誰がいつ決めるのか。追客のタイミングが分かります

この情報があると、アポにならなかった会話も、次の切り口を作る材料になります。テストセールスの2か月で集まる会話の数は数百件にのぼるため、記録の仕方を最初に決めておくことが大切です。

テストセールスを外部に任せるときの選び方

1. 切り口を複数提案してくれるか

最初の打ち合わせで、部署と企業の状態の組み合わせを複数提案してくれるかを確認します。業種と規模のリストを1つだけ提案してくる相手は、比べるための設計ができていません。

2. 断り理由と会話の中身を報告してくれるか

件数だけの報告では、テストセールスの意味がありません。断り理由の分類と、相手の言葉まで報告されるかを確認します。

3. 通話の品質を確認する仕組みがあるか

同じ切り口でも、話す人によって結果が変わっては比べられません。スリーグッドは、架電スタッフの採用率を2割未満に絞り、通話録音をディレクターが確認しています。基準はBtoBQSのページで公開しています。

4. 担当者に直接届ける手段があるか

代表番号のリストでは、受付で止まる件数が多く、切り口の比較に必要な会話数が集まりません。スリーグッドは20万社・150万部署の部署直通番号のデータベースを使い、代表番号と比べて担当者と話せる数が約2倍になります。

社内で準備しておくもの

  • 商材の説明資料と、よく聞かれる質問への答え
  • 今の顧客がなぜ買っているか(既存の顧客がいる場合)
  • 狙いたい市場の仮説と、除外したい条件
  • 商談になったときに対応する人

この4つがそろっていれば、ご契約日から標準14日で稼働を始められます。

よくある質問

Q1. 期間は2か月より短くできますか

2か月でお受けしています。1か月目で切り口ごとの反応を集め、2か月目で反応のある切り口に寄せて確かめるため、短くすると判断に必要な数字がそろいません。

Q2. テストセールスを挟まずに始めることはできますか

今の顧客の傾向が分かっている場合や、他社での架電データがある場合は、テストセールスを挟まずに新規開拓から始められます。

Q3. テストセールスのあとも続けて依頼できますか

できます。反応のあった組み合わせで目標と稼働量を決め、広げる段階に移ります。

Q4. 終わったあとに何が残りますか

使ったリスト、断り理由のデータ、トークをお渡しします。

Q5. 料金はどのくらいかかりますか

月額固定で、初期費用はかかりません。目安は月20万〜50万円(大手・中堅企業や自治体向け)、月50万〜200万円(中小企業・店舗向け)で、ご依頼の工数によって決まります。

代表・田中からひとこと

新規事業の方からは、まずはお客様の声を聞いてから動きたい、というご相談もよくいただきます。ただ、ヒアリングだけを重ねていると、検証が進まないまま時間が過ぎてしまいます。新規事業では、お客様に聞くより先に、仮説を電話でぶつけて反応を見るほうが早く進みます。

テストセールスで見つけたいのは、相手がどんな状態のときに反応するかです。その状態は案件ごとに違い、最初から分かっていることはほとんどありません。2か月の間に電話で状態を探り、リストを作り直す。これが、私たちが200社以上の新規開拓で繰り返してきた進め方です。

まとめ

テストセールス(営業PoC)のポイントは、次の3つです。

  • 部署と企業の状態の組み合わせで、切り口を2〜4つ用意し、同じ条件で比べる
  • 着電率・着電アポ率・断り理由まで分けて見て、毎週直す
  • 2か月目の終わりに、反応のあった組み合わせで目標と稼働量を決める

テストセールスは、営業組織や広告に投資する前に、売れる相手を確かめるための期間です。スリーグッドは、200社以上の新規開拓で積み上げた業界ごとの入り方を使い、切り口の設計から一緒に行います。まずは今の商材と、狙いたい市場を聞かせてください。

株式会社スリーグッド 代表取締役 田中祐貴
X:@threee_sales HP:threegood.net

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