製造業の新規開拓の方法|メーカーの購買・生産技術に届くリスト、電話の相手、断り理由への返し方

工場の内部

「部品の商社として、メーカーに新しい取引先を増やしたいが、代表電話で毎回止まってしまう」「購買の担当者とは話せても、図面を持っているのは設計なので話が進まない」「長年の取引先があるからと、比較すらしてもらえない」。製造業(メーカー)に部品・材料・設備・調達代行・業務システムなどを売っている会社から、こうしたご相談をよくいただきます。

メーカーは取引先を簡単には変えません。品質や納期で一度トラブルが起きると、生産ライン全体が止まるからです。売る側からすると、どれだけ良い商材でも聞いてもらう入口がない、という状態になりがちです。

先に結論をお伝えします。製造業への新規開拓は、電話をかける数ではなく、決める部署にたどり着けるかどうかと、見直しのきっかけがある会社を選べているかどうかで結果が決まります。本記事では、京都の営業代行会社スリーグッドが、金型部品・金属加工部品の調達サービスや製造業向けの業務システムなどで担当してきた架電の記録をもとに、メーカーへの新規開拓がうまくいかない理由と、部署直通の番号で担当者に届ける進め方、料金と期間の目安までを解説します。

この記事の要点

  • 製造業の営業代行は、商材ごとに決める部署(購買・生産技術・品質保証・工場長・情報システムなど)を仮説で置くところから始まります。
  • 代表番号のリストでは担当部署にたどり着けません。部署直通の番号に変えると、担当者と会話できる数は約2倍(100件中8件が16件になる計算)になります。
  • 今の取引先から切り替える理由がない会社に何度かけても進みません。値上げ・増産・設備更新など、見直しのきっかけがある状態の会社でリストを切ります。
  • 電話の段階で発注ロットや頻度、時期を聞いておくと、条件の合わない商談を減らせます。
目次

製造業の新規開拓で、営業代行にできること

金属部品

製造業の営業代行とは、メーカーを売り先とする商材について、ターゲットの選定、リスト作成、電話でのアプローチ、商談の設定までを外部の営業会社が代わりに行うサービスです。「製造業 テレアポ」と検索される方の多くは、このうち電話で担当者と商談を設定する部分を探しています。

製造業向けの商材は幅が広く、金型部品や金属加工品のような部品、樹脂や鋼材などの材料、工作機械や検査装置などの設備、海外調達の代行、生産管理や基幹システムなどの業務システムまであります。共通しているのは、使う人、選ぶ人、お金を出す人が別の部署にいることが多い点です。そのため、メーカーの新規開拓営業では、誰に電話をつなぐかの設計が、トークの上手さよりも先に効いてきます。

スリーグッドはこれまで200社以上の新規開拓を担当してきました。製造業向けの進め方や支援例は製造業向けの営業代行のページにまとめています。本記事では、そのページに書ききれなかった現場の記録を中心にお伝えします。

製造業への新規開拓がうまくいかない4つの理由

代表番号では担当部署にたどり着けない

加工機械

メーカーの代表番号にかけると、多くは総務や受付の方が出ます。「営業のお電話はおつなぎできません」と言われるか、担当者は不在ですと言われて終わります。工場を持つ会社では、本社と工場で電話番号が分かれていることも多く、本社の代表番号から工場の資材課までたどり着くのはさらに難しくなります。

実際に、海外工場での金属加工部品の調達サービスを担当した案件では、ある月は受付で止まった電話と、担当者不在や呼出音のみの電話を合わせて、かけた電話の大半が担当者との会話にたどり着いていませんでした。

窓口と決める人が違う

同じ部品でも、価格や仕入先の比較は購買部、図面や仕様を決めるのは設計や生産技術、品質のチェックは品質保証、最終的にラインに入れるかどうかは工場長、という分かれ方をよくします。購買の担当者と話せても、「設計がOKしないと切り替えられない」で止まることは珍しくありません。業務システムであれば、窓口は情報システム部門でも、予算を決めるのは経営企画や役員です。

今の取引先から切り替える理由がない

メーカーの購買担当者にとって、仕入先を変えることはリスクです。今の取引先で大きな問題が起きていなければ、新しい会社の話を聞く理由がありません。金属加工部品の調達サービスの案件で聞いた断り理由も、「国内調達しか考えていない」「既存の仕入先で十分」「規格が違うので海外部品はすべて断っている」「海外からの輸入で苦い思いをした」といった、今を変えない理由が中心でした。

見直しのきっかけが限られる

メーカーが仕入先や設備を見直すのは、主要な仕入先の値上げ、増産や新ラインの立ち上げ、設備の老朽化、品質トラブル、システムの保守切れなど、きっかけがあるときに限られます。このタイミングに当たらない会社へ同じトークで電話を重ねても、「今は結構です」が続くだけです。営業代行に頼んでも成果が出なかったという話の多くは、ここを考えずに架電数だけを増やしたケースです。

メーカーに届く新規開拓の進め方

決める部署を商材ごとに仮説で置く

倉庫の棚

最初に行うのは、商材ごとにどの部署へ電話をつなぐかの仮説づくりです。会社の規模によっても変わります。金型部品の調達代行の案件では、キックオフの段階で「部署は購買、企業規模によっては設計」と決めてから架電を始めました。中小の金型メーカーでは社長や工場長が仕入れを決めていることも多く、規模ごとに窓口を変えています。

商材の例最初の窓口一緒に決める部署・人
金型部品・金属加工部品購買部・資材部・調達課設計・生産技術、中小企業では社長・工場長
材料(樹脂・鋼材など)購買部開発・品質保証
工作機械・検査装置などの設備生産技術・工場長購買部・経営層
品質管理・検査の仕組み品質保証部工場長・生産技術
生産管理・基幹システム情報システム部門・DX推進経営企画・役員

表はあくまで最初の仮説です。架電の中で「その件は生産管理部です」「うちは工場の資材課が見ています」と教えていただいた内容をリストに書き戻し、毎週の定例で窓口の仮説を直していきます。

部署直通の番号で担当者に届ける

スリーグッドは、20万社・150万部署の部署直通番号のデータベースを持っています。リストは案件ごとに新しく作り、そのリストに購買部や資材部、情報システム部などの直通番号を当てます。代表番号のリストと比べて、担当者と会話できる数は約2倍です。100件かけて8件しか担当者と話せなかったものが、16件になる計算です。

製造業向けの基幹システムの案件では、経営層に手紙を送ったあとのフォローの電話を、代表への取り次ぎ、部署直通、担当者のお名前指定の三段階で組みました。情報システム部門の直通番号が登録されていない会社は、総務部や経営企画部を代わりの窓口としてリストに入れています。部署が見つからない会社を最初から外すのではなく、代わりの入口を決めておくことで、リストの消化が止まりにくくなります。

POINT:直通番号は会話できる数を増やす手段で、それだけで商談が増えるわけではありません。どの部署につながったときにアポになったか、どの部署で断られたかを記録して、窓口の仮説を直すところまでがセットです。

状態で切ったリストを使う

業種や従業員数でリストを作るだけでなく、今まさに見直しのきっかけがある会社かどうか、つまり企業の状態でリストを切ります。順番は、いつ(状態)を先に決め、そのあとに誰に(部署)を決めます。

企業の状態見つけ方の例相性のよい商材
主要な仕入先が値上げした業界の値上げ発表、架電中のヒアリング部品・材料の代替調達、調達代行
増産・新工場・新ラインの立ち上げ設備投資の発表、求人情報、補助金の採択設備、治具・金型、物流
量産品を海外から調達している架電中のヒアリング海外調達の比較・見直し
基幹システムの更新時期が近いセミナーの視聴、資料請求、決算期生産管理・基幹システム
品質トラブルや監査対応がある架電中のヒアリング検査装置、品質管理の仕組み

金型部品の調達代行の案件では、大手の部品メーカーが規格品を値上げしたタイミングに合わせて、規格品を買っている会社に「同じ品質でコストを下げられる」という切り口で架電しました。対象のリストも、大阪・京都のプラスチック金型から始め、ダイカスト金型、プレス金型、軸受などのオイルレス部品、愛知の金型メーカーへと、反応を見ながら切り替えています。

電話の段階で条件と時期を聞く

製造業の商談で多い失敗は、会ってみたら条件が合わなかったというものです。金属加工部品の調達サービスの案件では、量産品を得意とするサービスに対して、アポ先から「少量多品種で同じ部品を繰り返し使わない」「1回の発注が1個から50個程度」といった声が出て、商談後に継続しないと判断した先がありました。

そこで、アポの報告項目に「同じ部品を年に何回発注しているか」「1回に何個発注しているか」「今の仕入先は国内か海外か」を入れ、電話の段階で聞くようにしました。ある会社は年6〜7回、1回500〜1,000個の発注で、国内から仕入れていると分かったうえで商談に進んでいます。条件の合わない先に訪問する時間が減るので、クライアント側の営業の負担も軽くなります。

POINT:スリーグッドでは、成果を有効商談で数えます。資料送付の約束だけの先は商談の数に入れません。条件と時期を電話で聞くのは、この有効商談の質を保つためです。

現場の記録:製造業の新規開拓で数字はどう動いたか

海外工場での金属加工部品の調達サービス(社名非公開)

鋼管

購買部・資材部・調達課・生産管理部を窓口に、大阪を中心とした金属加工品を使うメーカーへ架電した案件です。時期ごとの傾向は次のとおりでした。

時期結果の傾向
最初の数か月金属加工品を使う会社に絞ったリストで、アポイントが安定して出た
リストを追加した時期架電数を増やしても、アポ率はほぼ同じ水準を保てた
別の条件のリストを足した時期番号のない会社が多く、着電率もアポ率も大きく下がった

数字を分けたのはリストでした。金属加工品を使う会社に絞った最初のリストと、その後に追加したリストでは、アポイントが安定して出ました。一方、後から追加したあるリストではアポ率が大きく下がり、受付で止まる割合も高くなりました。このリストは番号がない会社を調べながらかけたため、1時間あたりの架電数も落ちています。

断り理由を整理すると、「単発・小ロット・一品一様」「金属部品はすべて内製」「お客様から部品を支給されている」が多く、量産品を外から調達している状態の会社かどうかで結果が大きく変わることが分かりました。アポになった理由で最も多かったのは「コストが下がるなら」で、すでに海外から調達している会社が比較の材料として話を聞くケースもありました。

金型部品・金属加工部品の調達代行(社名非公開)

中国の工場で作る金型部品・金属加工部品の調達代行サービスで、製造業への新規開拓を担当しました。長期で継続し、購買と設計を窓口に、金型の種類と地域を変えながらリストを切り替えています。大手部品メーカーの値上げという見直しのきっかけを切り口にした点と、軸受などのオイルレス部品では大型の自動車部品を作る会社を優先した点が、この案件の特徴です。

製造業向けの基幹システム(社名非公開)

大手システム会社の製造業向け基幹システムで、機械・組立系と化学系のメーカーに経営層向けの手紙を送ったあと、フォローの電話を担当しています。初回は検証の位置づけとして目標の数字は約束せず、代表、部署直通、担当者のお名前指定の順に切り替えながら、どの入口で会話ができたかを確かめています。

このほか、大手メーカーの新規事業である陸上養殖の水産物の販路開拓(社名非公開)も担当しています。メーカーに売る営業だけでなく、メーカーが新しい市場に売りに行く営業も、進め方の考え方は同じです。詳しくは製造業向けの営業代行のページをご覧ください。

料金と期間の目安

図面

料金は月額固定で、初期費用はかかりません。製造業向けの案件は、売り先の規模によって次のどちらかのプランになります。

項目内容
プラン①大手・中堅・ニッチ市場・自治体向け 月20万〜50万円(税別、工数による)
プラン②中小企業・店舗向け 月50万〜200万円(税別、工数による)
初期費用なし
最低契約期間2か月
稼働開始までご契約日から標準14日
月額に含むものリスト作成(部署直通番号の付与を含む)、架電、毎週の定例ミーティング、レポート作成
別料金商談代行、訪問の交通費、メール・フォーム営業など
終了時にお渡しするもの使ったリスト、断り理由のデータ、トーク

最初の1〜2か月は、どの部署・どの状態の会社に反応があるかを確かめる期間です。目標の数字は、この期間の結果を見てから一緒に決めます。提案の段階で、リストと定例資料のサンプルをお送りしています。営業代行を初めて検討される方は、初めて営業代行を使うときの選び方もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q1. 製造業の専門用語が多い商材でも対応できますか?

その業界の商材を担当した経験のあるメンバーだけをアサインします。初めての領域になる場合は、契約前にお伝えします。キックオフで商材の説明を受け、よく聞かれる質問と答えをトークに入れてから架電を始めます。

Q2. 購買部と設計部のどちらに電話するのがよいですか?

商材と会社の規模によって変わります。最初に仮説を置いて両方の部署に当て、どちらでアポになったか、どちらで断られたかを毎週の定例で確認し、窓口を絞り込んでいきます。

Q3. 工場が地方にあるメーカーにもアプローチできますか?

できます。本社と工場で番号が分かれている場合は、部署直通の番号を使って工場の資材課や生産技術に直接おつなぎします。訪問の商談の場合は、移動を考えてエリアをまとめてアポを入れることもできます。

Q4. 展示会で集めた名刺へのフォローもお願いできますか?

お願いできます。展示会のリストは名前が分かっている分、話は早いのですが、異動や不在も多いので、お名前指定と部署直通の両方で追いかけます。

Q5. 報告はどのような形で受け取れますか?

日々の稼働の共有と、毎週の定例ミーティングでレポートをお渡しします。架電件数だけでなく、部署別・リスト別の結果と断り理由をまとめます。通話は録音し、ディレクターが確認しています。品質管理の基準も公開しています。

品質管理の考え方は、スリーグッドの品質基準(BtoBQS)にまとめています。採用時のロープレ、30項目のトレーニングシート、通話の録音確認、リストの品質、追客、毎週の定例と日次共有までを決めています。

代表・田中からひとこと

私は魚の卸のルート営業から営業の仕事を始め、京都・先斗町の和食店で1年間板場に立ったあと、光通信系の営業会社ではテレアポの成績1位も経験しました。営業代行を始めたのは、運営していた民泊がコロナで売上9割減になったことがきっかけです。今は自社でも陸上養殖魚の卸事業SAKANA DIRECTを運営し、自分たちの商材で毎月電話をかけています。

製造業への新規開拓は時間がかかりますが、一度取引が始まると長く続く市場です。値上げがあった、増産が決まった、設備が古くなったといったタイミングに話ができるかどうかで、同じ商材でも結果が変わります。だからこそ、最初の2か月で、どの部署の、どんな状態の会社に反応があるのかを確かめることが大切だと考えています。

まとめ

  • 製造業の営業代行は、商材ごとに決める部署を仮説で置き、部署直通の番号で担当者に届けるところから始まります。
  • 見直しのきっかけがある状態の会社でリストを切ると、同じ架電数でも会話の中身が変わります。
  • 電話の段階で発注ロット・頻度・時期を聞き、有効商談の質を保ちます。

メーカーへの新規開拓が進まないとき、トークを磨く前に、誰に、いつ電話しているかを見直すと打ち手が見えてきます。スリーグッドでは、月額固定・初期費用なしで、最初の1〜2か月の検証から一緒に進めています。製造業向けの支援内容は製造業向けの営業代行のページでもご覧いただけます。自社の商材でどの部署を狙うべきか迷われている方は、お気軽にご相談ください。

株式会社スリーグッド 代表取締役 田中祐貴
X:@threee_sales HP:threegood.net

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