SaaSの営業代行とは?IT・SaaS企業の新規開拓テレアポがうまくいかない理由と進め方

分析画面

「インサイドセールスを立ち上げたものの、架電しても商談につながらない」「代表番号にかけると、受付で『システムは間に合っています』と言われて終わる」「以前の営業代行はアポの件数は出たが、商談の中身が薄く受注につながらなかった」。SaaSやITサービスを企業に売っている営業責任者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。

SaaSは似たサービスが多く、相手は比べることに慣れています。現場で電話をかけ続けていると、商材の良し悪しより、どこに、いつ電話しているかで結果の大半が決まっていると感じます。

先に結論をお伝えします。SaaS・ITサービスの新規開拓テレアポは、架電数を増やすことより、部門と企業の状態を組み合わせた切り口を複数用意し、1〜2か月の架電でどの切り口に反応があるかを確かめることで成果が変わります。反応のあった切り口が見つかってから目標を決め、同じ条件のリストを作り直して広げていく。これがスリーグッドの進め方です。

本記事では、SaaSの営業代行とは何か、SaaS・IT企業の新規開拓がうまくいかない理由、具体的な進め方、スリーグッドの現場の架電データ、料金と期間の目安を順に解説します。

この記事の要点

  • SaaSの営業代行は、リスト作成から架電、商談設定、断り理由の分析までをまとめて任せる仕組みで、インサイドセールス(BDR)の立ち上げや増強に使われます。
  • うまくいかない原因は、比べられて終わる、窓口と利用部門が違う、乗り換えの手間が大きい、担当者が営業電話に慣れている、の4つに集約されます。
  • 部門と状態の切り口を複数用意し、利用部門の直通番号で届け、業務の課題から話すと、同じ商材でも数字が大きく変わります。
  • 最初の1〜2か月で当たる切り口を見つけてから目標を決め、1つの商材で得た知見を次のサービスへ広げていきます。
目次

SaaSの営業代行とは?IT営業代行との違いと任せられる範囲

サーバールーム

SaaSの営業代行とは、クラウド型の業務システムやITサービスを提供する企業に代わって、新規顧客の開拓を行うサービスです。電話を中心にリストの作成、架電、アポイントの設定、断り理由の記録までを担い、商談以降は自社の営業担当が引き継ぐ形が一般的です。「IT 営業代行」もほぼ同じ意味ですが、受託開発のような案件型のITサービスと月額課金のSaaSとでは、売り方が少し違います。

SaaSは使い続けてもらって初めて売上が積み上がります。そのため新規開拓の段階から、導入後に使う部門の担当者と話せているかが重要です。受付を通ってアポを取るだけでは、商談の場で「現場は困っていない」と言われてしまいます。

役割で分けると、問い合わせや資料請求に対応するSDRと、まだ接点のない企業へこちらから電話するBDRがあります。営業代行が主に担うのはBDRです。詳しくは既存コラムのインサイドセールス・BDRとABMの関係でも解説しています。

スリーグッドは、POSシステム、シフト管理SaaS、コミック型のeラーニング研修教材、インフルエンサーマーケティングのSaaS、生成AIを使った人材育成のHRテック、国産のAIエージェントなど、SaaS・ITサービスの新規開拓を数多く担当してきました。担当してきた商材と業界ページの事例はSaaS・ITサービスの営業代行にまとめています。

SaaS・ITサービスの新規開拓がうまくいかない4つの理由

オフィスのデスク

SaaSの営業がうまくいかない原因は、おおむね次の4つに分かれます。どれもトークの工夫だけでは解決しにくい問題です。

1. 似たサービスが多く、比べられて終わる

勤怠、シフト、POS、生成AIなど、SaaSはどの領域にも似たサービスが並び、担当者は比較に慣れています。電話口でも「他社さんとどう違うのですか」「今はほかのサービスで足りています」と返されます。国産AIエージェントの架電でも、「業務で使う生成AIはすでに契約している」「導入を進めている業者がいる」という断りが目立ちました。機能の違いを説明するほど、比較表の1行として扱われてしまいます。

2. 窓口になる部署と、実際に使う部署が違う

シフト管理なら現場の店長、POSなら店舗運営や情報システム、研修教材なら人事や人材開発というように、ツールを使う部署と、受付が案内する部署は一致しないことが多くあります。代表番号に電話すると総務につながり、「そういった件は担当がいない」で終わります。AIエージェントの架電でアポイントになった相手を見ると、経理部、総務IT課、情報システム部、人材開発部、営業促進部、取締役とばらばらでした。同じ商材でも、企業ごとに検討を進める部署が違うということです。

3. 乗り換えの手間が大きい

すでに何らかのシステムを使っている企業にとって、乗り換えはデータ移行、社内説明、現場の操作研修まで含めた大きな仕事です。クラウド型POSの大手向けの架電では、「別のメーカーのレジに入れ替えたばかり」「販売管理システムと連携しているので変える予定はない」「本部が一括で管理している」という声が繰り返し記録されています。価格や機能で勝っていても、相手がいま乗り換えを考える時期でなければ話は進みません。

4. 担当者が営業電話に慣れている

IT部門やマーケティング部門には、毎日のようにSaaSの営業電話がかかってきます。冒頭の数秒で用件を判断され、「資料をメールで送ってください」で切られるケースが多くなります。資料送付は前に進んだように見えますが、実際には断りの言い換えであることも多いため、スリーグッドでは資料送付の約束は成果として数えず、有効商談だけを数えています。

SaaS新規開拓テレアポの進め方

ソースコード

スリーグッドの進め方の土台は、企業の状態で相手を絞り、そのうえで利用部門に届けることです。

部門と状態の切り口を複数用意する

SaaSのリストを業種と従業員数だけで作ると、同じリストを何度もかけ直すことになります。スリーグッドは、企業がいまどんな状態にあるか(いつ)と、どの部門に届けるか(誰に)を組み合わせて、最初から複数の切り口でリストを作ります。たとえば次のような切り口です。

企業の状態(いつ)読み取れる理由電話する部門の例
求人媒体で採用を増やしている人手が足りず、業務の効率化や教育に関心が向いている人事部・人材開発部
新店の出店や業態の追加を進めている店舗の仕組みを入れ替える時期に重なる店舗運営部・情報システム部
DX推進やAI活用を公表している社内で予算と担当者が決まりつつあるDX推進室・情報システム部
他社サービスの導入事例に載っているSaaSへの投資に前向きで、比較の土台がある導入事例に出ている部署
多店舗・多拠点を運営している拠点ごとの管理の手間が大きい本部の管理部門

AIエージェントの案件では、求人媒体に掲載している従業員50〜300名の企業を業種ごとに分けたリストと、SaaSの導入事例に掲載されている企業のリストを並行してかけました。後ほど紹介するとおり、切り口によって着電アポ率に2倍近い差が出ています。

POINT:切り口は最初から1本に決め打ちしないことが大切です。3〜5本の仮説を同時に走らせ、毎週の定例で数字を見比べ、反応のない切り口は早めに止めます。

利用部門の直通番号で届ける

SaaSの営業で受付を越えられない最大の理由は、代表番号から入っていることです。スリーグッドは、20万社・150万部署の部署直通番号のデータベースを持っています。リストは案件ごとに新しく作り、そのリストに人事部、情報システム部、店舗運営部などの直通番号を当てていきます。代表番号のリストと比べると、担当者と会話できる数はおよそ2倍になります。100件かけて担当者と話せるのが8件だったものが16件になる計算です。

機能ではなく、業務の課題から話す

営業電話に慣れた担当者に機能の説明から入ると、すぐに比較の話になります。そこでスリーグッドは、相手の業務で起きていることから話を始めます。シフト管理SaaSのトークでは、総務・人事の責任者につないでもらったうえで、「シフトの作成や集計、調整に月5時間ほどかけている企業も多いのですが、現場からそうした声は上がっていませんか」と問いかけ、急な欠勤が出たときの店舗間のヘルプをどう回しているかを伺っていました。

業務の話から入ると、「うちはそこまで困っていない」という答えも、どの業務に課題がないのかという情報として残ります。これを断り理由のデータとして蓄積し、毎週の定例で見直します。

1〜2か月で当たる切り口を見つけてから目標を決める

SaaSの営業代行でよくある失敗は、提案の時点でアポ件数の目標を決めて契約し、始まってからターゲットが変わることです。前提が変われば、提案時の数字は意味を失います。スリーグッドは、最初の1〜2か月を、どの切り口に反応があるかを確かめる期間として使います。数字が見えてから、無理のない目標をクライアントと一緒に決めます。

期間行うこと確かめること
契約〜稼働開始(標準14日)商材の理解、切り口の仮説、リスト作成とトーク作成どの部門と状態の組み合わせを試すか
1か月目複数の切り口を並行して架電着電率、着電アポ率、断り理由の傾向
2か月目反応のよい切り口に寄せ、トークを修正有効商談になる相手の条件
3か月目以降当たった条件でリストを作り直して広げる同じ条件で再現できるか

POINT:架電アポ率だけを見ると判断を誤ります。着電率(担当者と話せた割合)と着電アポ率(話せた相手がアポになった割合)を分けて見ると、リストの問題なのか、トークの問題なのかが切り分けられます。

1つの商材から次のサービスへ広げる

SaaS企業は、1つのプロダクトが軌道に乗ると、周辺のサービスを追加していくことが多くあります。1つ目の商材で、どの部門にどんな状態の企業が反応するかが分かっていれば、次のサービスの立ち上げは速くなります。パーソルホールディングス株式会社とは2020年8月から、POSシステム、シフト管理SaaS、コミック型eラーニング研修教材、確定拠出年金の福利厚生サービスと、新しいプロジェクトが立ち上がるたびに新規開拓を担当してきました。

現場の記録:SaaS・ITサービスの架電データ

ヘッドホン

社内の稼働報告と定例資料に残っている実際の数字を、社名を伏せて紹介します。

国産AIエージェント:切り口で着電アポ率が約2倍に

従業員50〜300名の企業を対象にした国産AIエージェントの新規開拓では、稼働初月の40時間で428件に架電し、5件のアポイントを獲得しました。架電アポ率は1.2%、着電率は8.6%、着電アポ率は13.5%です。AIエージェントは比較対象が多く、すでに業務用の生成AIを契約している企業も多いため、担当者と話せる割合が低い商材でした。

一方、求人媒体に掲載している不動産・自動車販売の企業に絞ったリストでは、156件の架電で4件のアポイント、架電アポ率2.6%、着電率10.3%、着電アポ率25.0%でした。採用を増やしている企業は、人手不足を業務の自動化で補いたいという課題がはっきりしており、話を聞いてもらいやすかったと考えています。同じ月、同じトークでも、切り口を変えるだけで着電アポ率は約2倍になりました。

クラウド型POS:業態によって反応がまったく違う

多店舗展開している企業へのクラウド型POSの架電では、業態によって反応に大きな差が出ました。すでに他社のレジを入れている業態では受付で断られることが多く、アポイントにつながりにくい一方、別の業態ではまとまった反応があり、店舗数の多い企業に絞ると特に話を聞いてもらいやすくなりました。

反応が鈍かった業態では、今のレジからの乗り換えの手間を理由に断られることが多くありました。こうした結果を定例で共有し、反応のあった業態に架電の配分を寄せています。

また、自治体などの行政機関に向けた同じPOSの架電では、担当者と話せる割合も、話せたあとにアポイントになる割合も、民間の大手向けを大きく上回りました。同じ商材でも、どの市場に電話するかで数字はこれだけ変わります。

シフト管理SaaS:立ち上げ初月は半分以上が不在

ホテルや飲食店などに向けたシフト管理SaaSの立ち上げ初月は、不在が架電の半分以上を占め、担当者と話せる割合は低くとどまりました。アポイントより資料送付の依頼のほうが多く出ていた時期です。シフトを作る責任者は現場に出ていることが多く、事務所にいる時間帯が限られます。この記録をもとに、責任者の名前と電話がつながりやすい時間帯を聞き取って再架電する運用に切り替えていきました。

インフルエンサーマーケティングのSaaS:ご依頼前の状況

インフルエンサーマーケティングのSaaSでは、ご相談の時点で社内のアウトバウンドのアポ率が1.5〜1.8%、アポイントは月15〜20件、テレアポからの受注率は10%以下という状況でした。こうした場合は架電数を増やすより、受注につながった企業の状態を洗い出し、その条件でリストを作り直すことから始めます。

公開できる実績としては、パーソルホールディングス株式会社の案件で、毎月50件以上、延べ2,000件以上のアポイント、架電アポ率は平均2.1%です。ポスタス株式会社のクラウド型POSでは、飲食店・小売店に加えて薬局への新規開拓も担当し、6年以上継続しています。その他の事例はSaaS・ITサービス向けの営業代行ページをご覧ください。

SaaS営業代行の料金と期間の目安

グラフの画面

スリーグッドの料金は月額固定で、初期費用はかかりません。売り先の規模によって、必要な工数が変わるため、プランを分けています。

項目内容
プラン① 大手・中堅・ニッチ市場・自治体向け月20万〜50万円(税別、工数による)
プラン② 中小企業・店舗向け月50万〜200万円(税別、工数による)
初期費用なし
最低契約期間2か月
稼働開始までご契約日から標準14日
月額に含むものリスト作成(部署直通番号の付与を含む)、架電、毎週の定例ミーティング、レポート作成
別料金商談代行、訪問の交通費、メール・フォーム営業など
終了時にお渡しするもの使ったリスト、断り理由のデータ、トーク

中小企業・店舗向けは架電先の数が多くなるため、工数に応じた料金になります。提案の段階でリストと定例資料のサンプルをお送りしますので、報告の形を確かめてからご判断いただけます。

営業代行の利用がはじめての方は、はじめて営業代行を使うときの進め方もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q1. SaaSの営業代行では、どんな商材を担当していますか?

POSシステム、シフト管理SaaS、eラーニング研修教材、インフルエンサーマーケティングのSaaS、生成AIを使った人材育成のHRテック、国産のAIエージェントなどを担当してきました。これまで200社以上の新規開拓を担当しており、その業界の商材を担当した経験のあるメンバーだけをアサインします。初めての領域の場合は、契約前にその旨をお伝えします。

Q2. アポイントの件数を約束してもらえますか?

提案の時点で件数のお約束はしていません。最初の1〜2か月で、どの部門と状態の切り口に反応があるかを確かめ、その数字をもとにクライアントと一緒に目標を決めます。成果は有効商談で数え、資料送付の約束などは含めません。

Q3. 自社のインサイドセールスと並行して使えますか?

使えます。社内のチームが追っている企業や既存顧客は対象から外し、まだ接点のない企業を担当する形が多いです。定例で共有する断り理由は、社内チームのトーク改善にも使えます。

Q4. 架電の品質はどのように管理していますか?

採用時のロープレ、30項目のトレーニングシートとスキル連動の報酬、通話録音とディレクターによる確認、リストの品質、追客、毎週の定例と日次の共有を基準として定めています。詳しくは品質管理の基準「BtoBQS」のページで公開しています。

Q5. 契約が終わったら、リストやトークはもらえますか?

お渡しします。実際に使ったリスト、断り理由のデータ、トークは終了時にすべてお渡ししますので、社内のインサイドセールスにそのまま引き継いでいただけます。

代表・田中からひとこと

私は魚の卸のルート営業から営業の仕事を始め、京都・先斗町の和食店で1年間板場に立ったあと、光通信系の営業会社ではテレアポの成績1位も経験しました。営業代行を始めたのは、運営していた民泊がコロナで売上9割減になったことがきっかけです。今は自社でも陸上養殖魚の卸事業SAKANA DIRECTを運営し、自分たちの商材で毎月電話をかけています。

SaaSの営業は、電話の向こうの担当者が毎日どんな業務をしているかを想像できるかどうかで決まると考えています。機能の説明から入らず、相手の業務の話から入る。反応のない切り口は早めに止め、当たった条件を再現する。地味な作業ですが、この積み重ねが受注につながる商談を生みます。架電の品質については品質管理の基準「BtoBQS」として公開していますので、あわせてご覧ください。

まとめ

  • SaaS・ITサービスの新規開拓は、比べられる、窓口と利用部門が違う、乗り換えの手間が大きい、営業電話に慣れている、という前提を踏まえて進める必要があります。
  • 部門と状態の切り口を複数用意し、利用部門の直通番号で届け、業務の課題から話すことで、同じ商材でも着電アポ率が大きく変わります。
  • 最初の1〜2か月で当たる切り口を見つけてから目標を決め、1つの商材の知見を次のサービスへ広げていきます。

SaaSの営業代行を選ぶときは、アポイントの件数だけでなく、どんな切り口でリストを作り、断り理由をどう次に活かすのかまで確認することをおすすめします。自社の商材でどんな切り口が考えられるか、まずはお気軽にご相談ください。担当してきたSaaS・ITサービスの事例はSaaS・ITサービスの営業代行でもご紹介しています。

株式会社スリーグッド 代表取締役 田中祐貴
X:@threee_sales HP:threegood.net

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