新規事業の営業代行とは?営業人材が足りない新規事業で、最初の顧客をつくる進め方と選び方

「新規事業を立ち上げたが、営業に回せる人がいない」「既存事業の営業部に頼んでも、本業が優先されて動いてもらえない」「営業代行に頼んだら、件数の報告だけが返ってきた」。新規事業の責任者から、こうした相談を多くいただきます。

新規事業の営業が止まると、人が足りないことが原因に見えます。ただ、実際に支援してみると、多くの場合はそれ以前に、誰に売るかがまだ決まっていないことが大きな原因になっています。既存事業の営業部は、すでに売れる相手が決まっている商材を回す組織です。売れる相手を探す段階の新規事業とは、仕事の中身が違います。

先に結論をお伝えします。新規事業の営業を外部に任せるときに求めるべきなのは、アポイントの件数ではなく、どの部署の、どんな状態の企業に反応があるかを確かめ、その結果を受注まで持っていくことです。

本記事では、新規事業の営業代行の定義、新規事業の営業が止まる理由、最初の顧客をつくるまでの進め方、依頼先の選び方を、200社以上の新規開拓を担当してきたスリーグッドの事例とあわせて解説します。

この記事の要点

  • 新規事業の営業が止まる理由:人が足りないことより、売れる相手がまだ決まっていないことが大きい
  • 新規事業の営業代行の役割:売れる相手を探す仕事を、既存事業と切り離して専任で回すこと
  • 進め方:部署と企業の状態で仮説を複数立て、電話で反応を確かめ、1件目の受注を分解して広げる
  • 依頼先の選び方:アポの件数の約束より、反応と断り理由を持ち帰れるかで選ぶ
目次

新規事業の営業代行とは?既存事業の営業代行との違い

新規事業の営業代行とは、新しい商品・サービスを立ち上げたとき、または既存の商品で新しい市場や顧客層を開拓するときに、新規顧客の開拓を外部の営業会社が代わりに行うサービスです。リストの作成、電話でのアプローチ、商談の設定、反応の報告までを任せるのが一般的で、商談の実施まで任せる場合もあります。

既存事業の営業代行との違いは、最初から売れる相手が分かっていないことです。既存事業であれば、今の顧客と同じ業種・規模の企業に当てれば一定の反応があります。新規事業では、その前提がありません。

項目既存事業の営業代行新規事業の営業代行
売れる相手すでに分かっているまだ分かっていない
最初の仕事決まったリストに架電する切り口を複数用意して反応を比べる
見るべき数字アポ件数・アポ率切り口ごとの反応と断り理由
報告の中心件数の推移何が当たり、何が外れたか
うまくいった後同じやり方で量を増やす当たった条件を再現して広げる

このため、新規事業の営業代行では、件数をこなすことよりも、どの部署の、どんな状態の企業に反応があるかを確かめることが仕事の中心になります。

POINT:新規事業の営業代行に頼むのは、売れる相手を見つける仕事です。件数を増やす仕事は、売れる相手が見つかってからの話になります。

新規事業の営業が止まる3つの理由

新規事業の営業が思うように進まない会社には、共通する原因があります。

1. 既存事業の営業部に頼むと、本業が優先される

既存事業の営業担当には、それぞれの数字の目標があります。新規事業の商材は、売り方が決まっておらず、成約までの時間も読めません。目標の数字に追われる担当者ほど、新規事業の商材は後回しになります。「時間があるときに案内しておきます」で、数か月が過ぎてしまうことも珍しくありません。

2. 新規事業を任せられる営業人材の採用が間に合わない

新規事業の営業を任せられる人は、売り方が決まっていない商材で、自分で仮説を立てて動ける人です。こうした人材は採用市場でも少なく、採用から戦力になるまでに半年以上かかることもあります。採用を待つ間に、事業計画の検証が止まってしまいます。

3. 誰に売るかが決まらないまま、量だけを増やしてしまう

営業の人手を確保しても、業種や規模だけで切ったリストに電話をかけ続けると、反応が薄いまま稼働が終わります。断られた理由が記録されていなければ、次に何を変えればよいかも分かりません。以前に営業代行を使って成果が出なかったという相談の多くは、このパターンです。

POINT:新規事業の営業で最初に決めるべきなのは、営業の人数ではなく、どの部署の、どんな状態の企業に当てるかの仮説です。

新規事業で最初の顧客をつくる4つのステップ

スリーグッドが新規事業の新規開拓を担当するときは、次の4つのステップで進めます。

ステップ1:部署と企業の状態で、仮説を複数立てる

業種や企業規模だけで相手を決めず、誰が決める商材か(人事部、経営企画、店舗運営、購買部など)と、企業がいまどんな状態にあるか(採用を増やしている、新しい拠点を出した、補助金に採択された、事業転換を公表したなど)を組み合わせて、仮説を複数用意します。最初から1つに絞らないことが大切です。

ステップ2:部署直通の番号で、担当者に直接届ける

代表番号に電話すると、新規事業の商材は受付で止まりやすくなります。知名度のない商材ほど、この傾向は強くなります。スリーグッドは20万社・150万部署の部署直通番号のデータベースを使い、担当部署に直接電話します。代表番号のリストと比べて、担当者と会話できる数は約2倍になります。

ステップ3:断り理由と反応を記録し、毎週直す

新規事業の営業では、アポイントにならなかった会話にも情報があります。「今は時期ではない」「すでに別のサービスを使っている」「決めるのは別の部署」といった断り理由を記録し、毎週の定例でリストとトークを直します。最初に電話に出た人の役職や、説明への反応の速さも記録しておくと、次の仮説の材料になります。

ステップ4:1件目の受注を分解して、次のリストを作る

最初の受注が出たら、その相手がなぜ決めたのかを分解します。同じ状態の企業をリストにして当てていくと、2件目以降の受注が出やすくなります。新規事業の営業は、この分解と再現をどれだけ早く回せるかで結果が変わります。

新規事業の営業代行の事例

スリーグッドが担当した新規事業の新規開拓から、最初の顧客をつくるまでの例を4つ挙げます。いずれも、最初の仮説が外れたところから始まっています。

事例1:古着の撮影代行サービスの新規事業(株式会社コンコルド)

  • ターゲット:撮影代行を必要とする出品者
  • 課題:新規事業として立ち上げた撮影代行の売上がゼロ。以前の営業代行はGoogleマップから作ったリストで成果が出なかった
  • 戦略:撮影代行を必要とするのは、梱包して送れる商材を自分で出品している業者だという仮説を立て、Yahoo!オークションの出品業者を1社ずつ調べてリストを作り直した
  • 成果:9か月で商談37件、受注5件(受注率13.5%)、受注金額1,877万円。支援費用は約300万円で、受注金額は費用の約6倍。詳細はnoteで公開

事例2:ローンチ前の飲食店向けファストパスサービス(株式会社ハヤパス)

  • ターゲット:飲食店(当初は行列店・多店舗チェーン・競合サービスの利用店)
  • 課題:サービスの認知がゼロで、どの店舗に響くかが分かっていない
  • 戦略:架電を市場調査として使い、最初に出る人の役職、理解の速さ、課題の言語化を記録。店舗運営にすでに投資している痕跡のある店に絞り直した
  • 成果:半年で約20店舗の導入。詳細はコラムで公開

事例3:ゲーム型キャリア研修(株式会社BeOne)

  • ターゲット:自治体と民間企業の人事部門
  • 課題:創業2期目、代表2名で営業経験がなく、ターゲット・トーク・リストのどれもない状態
  • 戦略:翌年度の予算要求に間に合う時期は自治体中心、自治体の予算が閉じる時期は民間中心に切り替え。週1回の定例で反応と断り理由を共有し、次のターゲットとトークを決めた
  • 成果:3か月・1,294コールで有効商談59件(アポ率4.6%)。県庁1件は翌年度の受注が決定。詳細は対談で公開

事例4:大手メーカーの新規事業(陸上養殖の水産物)

  • ターゲット:当初は高級飲食店、のちにスーパー・食品卸・商社
  • 課題:新規事業として立ち上げた商品で、どの販路に売れるかが分かっていない
  • 戦略:活きた状態で高級飲食店に提案したあと、冷凍品のスーパー・食品卸・商社向けに切り替え。商品部・鮮魚部の直通番号を調べてから架電した
  • 成果:高級スーパーの商品部バイヤーとの訪問商談を設定

4つに共通するのは、最初の仮説が外れていたこと、そして外れ方を反応と断り理由から特定して、次の仮説に変えたことです。新規事業の営業代行で価値が出るのは、この修正の速さと、修正の結果が受注に届くまで走り切ることです。

新規事業の営業でよくある3つの誤解

200社以上の新規開拓を担当するなかで、新規事業の営業が止まっている会社には共通する考え方があると感じています。

誤解1:営業は、商品が固まってから始めればいい

商品を作り込んでから営業を始めると、売れなかったときに後戻りができません。新規事業では、商品が完成する前から営業で市場の温度感を取るほうが、結果的に早く進みます。売れる前提で作るのではなく、売れるかどうかを営業で確かめる順番です。

誤解2:スピード勝負だから、まずは大量にアプローチする

仮説のないまま大量に架電すると、断られた件数だけが積み上がり、どこに可能性があるのかが見えません。数を打つ前に、どの部署のどんな状態の企業に当てるかの仮説を立て、回数より検証を重ねるほうが、売れる相手に早くたどり着きます。

誤解3:まずはWebマーケティングから始める

Webマーケティングは、ニーズがすでに顕在化している市場で効果を発揮します。新規事業の商材は、相手がまだ必要性に気づいていないことが多く、検索されるのを待っていても問い合わせは来ません。最初は電話のように、こちらから相手に届けにいく方法でドアを開けるほうが近道です。

POINT:新規事業の営業は、数より仮説、回数より検証です。仮説を電話で確かめ、外れたら早く次の仮説に変えることが、最初の顧客への近道になります。

最初の2か月で見るべき数字

新規事業の営業代行では、最初の2か月を、売れる相手を確かめる期間として使います。この期間に見るべき数字は次のとおりです。

数字分かること見るときの注意
着電率リストと時間帯が合っているか代表番号のリストか、部署直通のリストかで大きく変わる
着電アポ率訴求とトークが相手に合っているか切り口ごとに分けて見る
架電アポ率全体の効率新規事業の初期は低くても問題ない
断り理由の内訳次に何を変えるか時期尚早・既存の取引先あり・担当違いなどに分ける
商談後の反応商材と提案が合っているか商談の内容を架電側にも戻す

例えば自治体向けAIサービスの案件では、稼働初週の架電アポ率は1.5%でした。断り理由から訴求を変えた結果、架電数は増やさずに、キーマンと接触したあとのアポ率が8.3%から27.8%に上がり、7週で累計23件の有効商談になりました。最初の数字が低くても、断り理由を読めれば立て直せます。

新規事業の営業代行に任せる範囲と、社内に残す範囲

  • 外部に任せる:リスト作成、部署直通番号の調査、トークの作成、架電、商談の設定、週次の報告
  • 社内に残す:ターゲットと訴求の最終判断、商談後の提案と見積、受注後の対応
  • 一緒に決める:2か月の稼働の結果を見たあとの目標と稼働量

任せる範囲を最初に決めておくと、報告の受け方と判断のタイミングがはっきりします。商談まで任せたい場合は、商談代行をオプションで加えることもできます。

現場の記録:属性で切ったリストでは、受注が出なかった

ここからは、スリーグッドが担当した新規事業の案件で、実際に起きたことをお伝えします。大手メーカーの新規事業である陸上養殖の水産物の販路開拓(社名非公開)で、最初の1か月に記録した数字です。

項目数字
稼働時間約29時間
架電した店舗149社
決裁者に届いた件数41件
サンプル送付の依頼20件
着電率10.5%
担当者との接触率24.7%
担当者と話せたあとのサンプル依頼率42.6%
受注0件

担当者と話せれば4割以上がサンプルを希望しており、トークは機能していました。それでも受注が出なかった原因は、リストにありました。最初に使ったリストは約2,300件で、高級店の掲載サイトやグルメサイトから、業種・エリア・掲載媒体といった属性で切ったものでした。

通話の記録を読み直すと、最も前向きだったのは、その食材を過去に扱っていたが、今は使っていない店でした。説得はほとんど必要なく、すぐにサンプルの送付に進んでいます。反対に、天然ものしか扱わない店や、地元の産地に限っている店は、最初から対象になりませんでした。また、品種の名前を伝えた時点で断られる店がいくつかあり、呼び方と訴求の順番も見直しました。

ここで参考にしたのが、自社事業の養殖魚で受注が出た店の分解です。受注した店を並べると、ジビエを扱う業態や、その魚を以前扱っていて仕入れ先が途絶えた店という共通点がありました。グルメサイトでその食材のメニュー名を検索すると、条件に合う店がまとまって見つかります。業種や地域ではなく、こうした状態でリストを作り直すことにしました。

もう一つの変化は、クライアント側の目標でした。月の出荷量の目標から逆算すると、席数の少ない飲食店を1店ずつ開拓しても届かないことが分かり、ターゲットを食品卸と中規模以上のスーパーに切り替えています。スーパーや卸の代表番号では担当部署に届かないため、商品部・鮮魚部の直通番号を調べてから架電しました。その結果、高級スーパーの商品部バイヤーとの訪問商談につながっています。

POINT:反応はあるのに受注が出ないときは、トークより先にリストを疑います。受注した相手や前向きだった相手を分解すると、次に当てるべき状態が見えてきます。

新規事業の営業代行の料金と期間の考え方

新規事業の営業代行を検討するときに、料金と期間の考え方も整理しておきます。

項目スリーグッドの場合
料金の形月額固定(初期費用なし)
料金の目安大手・中堅企業や自治体向けは月20万〜50万円、中小企業・店舗向けは月50万〜200万円。ご依頼の工数によって決まります
最低契約期間2か月
稼働開始ご契約日から標準14日
月額に含むものリスト作成、架電、定例MTG、レポート作成
終了時にお渡しするもの使ったリスト、断り理由のデータ、トーク

新規事業では、最初の2か月で売れる相手が見つかるかどうかが分かれ目になります。この期間に複数の切り口を偏りなく試すには、件数に応じて料金が変わる形より、月額固定のほうが向いています。2か月の結果を見て、目標と稼働量を一緒に決め、続けるかどうかを判断していただきます。

新規事業の営業代行を選ぶ4つの基準

1. 提案の段階でアポ件数を約束しないか

売れる相手が分かっていない段階で件数を約束する会社は、達成しやすい相手に寄せて架電しがちです。件数は増えても、新規事業の検証にはなりません。最初の2か月は反応を確かめ、その結果を見て目標を決める会社を選びます。

2. 断り理由と会話の中身が報告に入っているか

過去の報告書を見せてもらい、件数だけでなく、断り理由の分類と相手の言葉が入っているかを確認します。

3. 通話の中身を確認できるか

通話録音を聞けるか、誰が品質を確認しているかを確認します。スリーグッドは、採用・育成と評価・通話・リスト・追客・改善の6つの基準(BtoBQS)で、すべての案件を同じ基準で運用しています。

4. 料金が月額固定で、終了時に資産が残るか

月額固定であれば、検証に必要な切り口を偏りなく試せます。スリーグッドは初期費用なしの月額固定で、終了時に使ったリスト、断り理由のデータ、トークをお渡しします。

よくある質問

Q1. 新規事業の営業代行は、いつから頼むのがよいですか

商品やサービスの説明ができる状態になったら、早めの依頼をおすすめします。売れる相手を確かめる期間が早く始まるほど、事業計画の修正も早くできます。

Q2. まだ売れる相手の見当がついていなくても依頼できますか

できます。最初の打ち合わせで、部署と企業の状態の組み合わせで切り口を複数用意し、2か月の稼働で反応を確かめます。

Q3. 料金はどのくらいかかりますか

月額固定で、初期費用はかかりません。大手・中堅企業や自治体向けは月20万〜50万円、中小企業・店舗向けは月50万〜200万円が目安で、ご依頼の工数によって決まります。

Q4. 稼働開始までどのくらいかかりますか

ご契約日から標準14日です。その間に、リストの作成、部署直通番号の調査、トークの設計を行います。

Q5. 商談にも同席してもらえますか

商談代行はオプションで対応しています。アポイントの取得から商談の実施まで、まとめてご依頼いただけます。

代表・田中からひとこと

営業代行は、クライアントの黒子として、クライアントの会社名で電話をかける仕事です。私たちは常に数十社の商材を同時に担当していますが、うまくいく案件とそうでない案件の差は、ほとんどがリストにあると感じています。営業はリストに始まり、リストに終わります。

もう一つお伝えしたいのは、営業の前に商品の前提を確かめることです。お客様が困っていることは何か、その商品は困りごとを解決できるか、欲しい価格になっているか。ここがずれたまま営業に力を入れても、成果は出ません。ご相談の段階で、もう少し商品をこうしてから始めたほうがよいとお伝えすることもあります。新規事業の営業は、主語を自社の商品ではなく、お客様に置くところから始まります。

まとめ

新規事業の営業を外部に任せるときのポイントは、次の3つです。

  • 人の数より先に、どの部署・どんな状態の企業に当てるかの仮説を複数立てる
  • 部署直通の電話で担当者に届け、断り理由まで記録して毎週直す
  • 1件目の受注を分解し、同じ状態の企業に広げる

新規事業の営業は、売れる相手を見つけるまでが一番難しい段階です。スリーグッドは、大手・中堅・ニッチ市場・自治体向けと中小企業・店舗向けの2つのプランで、新規事業の新規開拓を担当しています。まずは今の売り方と、これまでの反応を聞かせてください。

株式会社スリーグッド 代表取締役 田中祐貴
X:@threee_sales HP:threegood.net

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