「東京では取引先が増えてきたが、関西ではほとんど実績がない」「大阪に支店はあるが、既存のお客様の対応で新規まで手が回らない」。関西以外に本社を置く企業から、関西の市場を開拓したいというご相談をいただくことが増えています。
関西は、大阪・京都・兵庫を中心に、企業も店舗も多い大きな市場です。ただし、2府4県(大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山)は、地域ごとに相手の顔ぶれも、取引の流れも違います。関西をひとまとめにして電話をかけると、どこで反応があったのかが分からないまま、件数だけが積み上がります。
先に結論をお伝えすると、関西を開拓するときは、府県と業態で相手を分け、関西の商流に合わせた入り方を選ぶのが近道です。この記事では、京都に本社を置き、関西の企業や店舗への新規開拓を担当してきた立場から、その進め方を解説します。

この記事の要点
- 2府4県を分けて考える:大阪と、京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山では、相手の数も電話のつながり方も違います
- 関西の商流に合わせる:直接の取引より、付き合いのある卸や問屋を通したいという相手も少なくありません
- 支店や拠点まで届ける:大きな企業は、本社だけでなく関西の支店や事業所にも決める人がいます
- 地元の会社として電話する:関西の相手には、関西の会社から話す方が受け止めてもらいやすい場面があります
関西の市場の特徴
関西の中心は大阪です。本社や支店を置く企業、卸や問屋、飲食店や小売の店舗が集まり、関西で新規開拓を始めるときに、最初に検討されることの多い地域です。
京都は観光と宿泊、長く続く企業や店舗、大学や研究機関などが多く、大阪とは相手の顔ぶれが違います。兵庫は神戸を中心に、阪神間の住宅地や、播磨の製造業の集まる地域まで広がっています。奈良・滋賀・和歌山は、大阪や京都への通勤圏でありながら、地元の企業や店舗の比重が大きい地域です。
同じ関西でも、どの府県のどんな相手を狙うかで、リストの作り方も、電話の入り方も変わります。
関西以外の企業が、関西で苦戦する4つの理由
1. 関西に取引先とのつながりがない
首都圏では取引先とのつながりがあっても、関西ではほとんど一からになる、というご相談は少なくありません。首都圏で築いた取引の流れが、そのまま関西で使えるとは限りません。
2. 支店があっても、新規に手が回らない
関西に支店や営業所があっても、少ない人数で既存のお客様に対応していると、新しい相手への電話は後回しになりがちです。
3. 2府4県をひとまとめにしてしまう
大阪で当たった切り口が、京都や兵庫でも同じように当たるとは限りません。府県ごとに反応を分けて見ないと、どこで何を直せばよいのかが分かりません。
4. 地元の取引先が強い
関西の店舗や施設には、長く付き合っている地元の卸や問屋から仕入れているところが多くあります。当社が担当した飲料の案件では、大阪の施設に電話すると、直接の取引より、ふだん付き合いのある問屋を通したいという声が多く聞かれました。
関西の営業体制をどうつくるか
関西以外の企業が関西を開拓するときの体制は、大きく3つの形があります。
| 形 | よいところ | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 関西に営業担当を置く・増やす | 顔を合わせる機会を増やせ、地元の取引先とのつながりを育てやすい | 採用と育成に時間がかかる。最初の売り先が見えないうちは、何から始めればよいか迷いやすい |
| 本社から出張して回る | 社内の営業担当が直接話せ、商品の説明が深くできる | 回れる件数が限られ、電話での日程調整まで担当者が抱えると続かない |
| 電話は外部に任せ、商談を社内で行う | 売れる府県と相手を早く見つけられ、社内の担当者は商談に集中できる | 最初の2か月は、府県と相手を試して比べる期間になる |
関西に人を置くかどうかを決める前に、電話でどの府県のどんな相手に反応があるかを確かめておくと、そのあとの採用や出店の判断材料になります。
2府4県をどう切るか
府県ごとに分けて電話し、反応を比べる
最初の1か月は、府県を分けてリストを作り、どこで電話がつながり、どこで話を聞いてもらえるかを比べます。大阪の飲料メーカーの案件では、大阪府内と、京都・滋賀・奈良・和歌山を分けて電話したところ、大阪府外の方が電話がつながりやすく、サンプルを受け取ってもらえる割合も高い結果になりました。相手の多い大阪だけを見ていると、こうした違いに気づけません。
訪問しにくい地域を先に外す
訪問で商談をまとめる場合は、移動に時間がかかる地域を先にリストから外しておきます。オフィス家具とOA機器を扱う株式会社オフィスバスターズの案件では、関西2府4県の従業員300名以上の企業を対象にしながら、行きにくい地域はキックオフの段階で外しました。
本社だけでなく、支店や事業所にも届ける
大きな企業は、本社が東京にあっても、関西の支店や事業所で決められることがあります。同じ案件では、関西の拠点に20〜30名以上の社員がいる場合は、その支店にも電話する方針にしました。本社の総務部だけでなく、拠点ごとの担当者に届けることで、話ができる相手が増えます。
企業の状態と部署で絞る
新しく関西に拠点を出した、事務所を移転した、採用を増やしているといった企業の状態でリストを切ると、話を聞いてもらえる相手に早くたどり着けます。大手や中堅の企業には、担当部署の直通番号に電話します。
関西の商流に合わせた入り方
関西で取引を広げるときは、直接の取引だけにこだわらず、相手がふだん使っている取引の流れに乗る方法も考えます。
| 入り方 | 進め方 | 向いている商材 |
|---|---|---|
| 直接取引 | 担当部署や店の決める人に電話し、商談につなげる | 法人向けのサービス、設備、オフィス用品など |
| 卸・問屋を通す | 店にサンプルを送り、取引先の卸や問屋を聞いて、卸経由で見積もりを出してもらう | 食品、飲料、日用品など、ロットや配送の条件がある商材 |
| 支店・拠点から広げる | 関西の拠点の担当者と話し、本社や他の拠点への紹介につなげる | 複数の拠点を持つ企業向けのサービス |
店が使いたいと言っている商品であれば、卸や問屋も取り扱いを検討しやすくなります。関西の店や施設との取引の多くは、こうした地元のつながりの上に成り立っています。
首都圏で当たったやり方を、関西に持ち込むときの注意
当たった条件を、そのまま使わない
首都圏で反応のよかった業種や企業の規模が、関西でも同じように反応するとは限りません。関西では相手の数そのものが首都圏より少ない業種もあり、同じ条件でリストを作ると、すぐに電話する先がなくなることがあります。首都圏で当たった条件は出発点にして、関西で改めて比べ直します。
関西の担当者の名前を出せるようにしておく
関西の相手は、東京の本社の会社が来たというより、関西で誰が担当してくれるのかを気にされることがあります。関西に支店や担当者がいる場合は、電話の段階からその名前を出せるようにしておくと、商談に進んだあとのやり取りが滑らかになります。
本社と支店、どちらで決めるかを確かめる
相手が全国に拠点を持つ企業の場合、関西の支店で決められることと、東京の本社でしか決められないことがあります。最初の電話で、どこで決めるのかを確かめておくと、商談の相手を間違えずに済みます。
関西の相手に電話するときの工夫
関西の会社として話す
京都に本社を置く当社は、関西の企業や店舗に、同じ関西の会社として電話できます。関西以外の企業の商材をお預かりする場合も、関西の相手に合わせた言葉で、地元の事情を踏まえて話を進めます。
時間帯を相手に合わせる
飲食店なら開店前や中休み、オフィスなら朝や夕方など、相手が電話に出やすい時間帯は業態で違います。府県ごとの反応とあわせて、つながりやすい時間帯も記録して組み替えていきます。
資料だけで終わらせない
まず資料を送ってくださいと言われたときは、届いたころに電話する日時を先に決めてから送ります。送ったまま途切れるのを防ぎます。
事例:株式会社オフィスバスターズ 関西の大企業に向けたオフィス家具・OA機器の新規開拓
- 相手:関西2府4県の、従業員300名以上の企業の総務部門
- 進め方:訪問しにくい地域をキックオフで外し、関西の拠点に一定の人数がいる企業は支店にも電話。総務の担当者を特定して、オフィスの移転や入れ替えの予定を聞いた
- 結果:2024年から支援を続けており、毎月安定してアポイントにつながっている
事例:大阪の飲料メーカーが、大阪府外へ広げたとき(社名非公開)
- 相手:通年で置いてもらえる飲食店、ホテル、温浴施設
- 進め方:大阪府内と、京都・滋賀・奈良・和歌山を分けてリストを作り、反応を比べた。関心のある施設にはサンプルを送り、取引先の問屋を聞いた
- 見えたこと:大阪府外の方が電話がつながりやすく、サンプルを受け取ってもらえる割合も高かった。大阪府内では、直接の取引より、付き合いのある問屋を通したいという施設が多かった
関西の開拓で見る数字
関西の開拓では、件数だけでなく、次の数字を府県ごとに分けて見ます。
- 電話がつながる割合:府県や業態、時間帯で変わります
- つながった相手から商談になる割合:相手の状況と、最初の一言が合っているかが表れます
- サンプルや資料を受け取ってもらえる割合:商材に関心を持ってもらえたかの目安になります
- 直接の取引と、卸経由の割合:関西での売り方を決める手がかりになります
どの数字が低いのかで、直すべきなのがリストなのか、トークなのか、入り方なのかが変わります。
最初の2か月で確かめること
| 時期 | 確かめること |
|---|---|
| 1か月目 | 府県と業態を分けて電話し、つながりやすさと話の進みやすさを比べます。断られた理由も府県ごとに記録します |
| 2か月目 | 反応のよかった府県と相手に寄せ、トークや資料を直します。直接の取引か、卸を通すかの入り方も見極めます |
| 3か月目以降 | 当たった条件を再現しながら、ほかの府県や業態に広げていきます |
最初の2か月の進め方は「テストセールス(営業PoC)とは?」でも詳しく解説しています。
京都の宿泊施設や、関西の自治体に向けた開拓
関西の開拓では、京都の旅館やホテル、関西の市町村など、業界ごとの事情を知っておきたい相手もあります。宿泊施設に向けた進め方は「ホテル・宿泊施設向け営業代行」で、自治体に向けた進め方は「自治体営業(BtoG営業)代行サービス」で紹介しています。
料金と進め方
- 料金は月額固定で、初期費用はいただいていません。相手を絞って電話する進め方では、月20万〜50万円が中心です
- 訪問商談は、商談代行として別にお見積もりします
- 最低契約期間は2か月、稼働開始はご契約日から標準14日です
関西の開拓で、当社が向いている会社
- 首都圏では実績があり、次の市場として関西に広げたい
- 関西に支店はあるが、既存のお客様の対応で新規に手が回らない
- 関西の大手・中堅企業の、担当部署に直接届けたい
- 食品や飲料など、関西の店や施設に卸を通して広げたい
反対に、関西全域に一度に大量の電話をかけて、件数だけを集めたい場合は、別の進め方の方が合う可能性があります。
よくある質問
- 東京の会社でも、関西の新規開拓を頼めますか
-
頼めます。商材と、これまで東京などで売れてきた相手をうかがい、関西のどの府県のどんな相手から始めるかをご提案します。
- 大阪だけ、京都だけといった依頼もできますか
-
できます。府県を絞った方が、反応の違いも見やすくなります。反応を見ながら、ほかの府県に広げることもできます。
- 関西で訪問商談もしてもらえますか
-
電話で取ったアポイントの訪問商談は、商談代行として別にお見積もりします。商談はお客様ご自身で行っていただく形でもかまいません。
- 関西の支店があるのに、営業代行を使う意味はありますか
-
あります。支店の方が既存のお客様に集中できるよう、新しい相手への電話を当社が担当し、商談からを支店の方にお渡しする形がとれます。
- どのくらいの期間で結果が見えますか
-
最初の2か月で、どの府県のどんな相手に反応があるかを確かめます。そこから当たった条件を広げていきます。
- 京都の会社に頼むと、何が違いますか
-
関西の企業や店舗に、同じ関西の会社として電話できることです。関西の取引の流れや地域の事情を踏まえて、府県ごとに入り方を変えて進めます。
代表・田中からひとこと
私は京都・先斗町の和食店で板場に立ち、2014年に京都で独立しました。関西の店や会社が、どんなつながりの中で取引先を選んでいるかは、売る側としても、仕入れる側としても見てきたつもりです。
関西は、ひとつの市場に見えて、府県ごと、街ごとに取引の流れが違います。外から入るときほど、相手のつながりに乗る入り方を考えることが大事です。関西で最初の取引先をつくりたい方は、ぜひご相談ください。
まとめ
関西以外の企業が関西の市場を開拓するときのポイントは、次の3つです。
- 2府4県を府県と業態で分けて電話し、反応を比べる
- 直接の取引だけでなく、卸や問屋、支店や拠点を通した入り方も考える
- 最初の2か月で当たった条件を見つけてから、ほかの府県に広げる
首都圏から関西へ広げたい方は、商材と、これまで売れてきた相手をお聞かせください。地方の企業が首都圏を開拓する進め方は「地方の企業が一都三県(首都圏)で新規開拓する方法」で紹介しています。
